卵子凍結、保険適用時と同じ3割負担で利用可能に 「東京ディズニーランド」」で知られる千葉県浦安市の松崎秀樹市長は6日、全国初の試みとして、順天堂大学医学部付属浦安病院(以下、順天堂大浦安病院)に卵子凍結の拠点整備費および研究費として、2015〜17年度の3年間にわたり、計9千万円を補助する方針を明らかにした。卵子凍結に自治体が資金を拠出する初めての例となり、事実上、浦安市が「卵子凍結」の費用の一部を負担することになる。これまで国が主導で行ってきた不妊治療の制度に、自治体が一石を投じる形となった。体制が整えば、浦安市在住の女性が卵子の凍結保存を行った場合、保険適用と同等の3割負担で利用できるようになるという。
「卵子凍結」は、女性の卵巣から卵子を取り出して、マイナス196℃の液体窒素で保存するというもの。子どもが欲しくなったら凍結している卵子を解凍して、パートナーの精子と体外受精し、子宮に戻して出産を行うことができる。
ただ、保険がきかないため、その後の保管料も含めると100万円近くになり、自己負担するにはかなり高額な治療法と言える。
従来はがんを患った女性などが、抗がん剤治療による副作用で不妊になるのを避けるため行われていだが、最近では、結婚予定のない未婚の女性が、晩婚化など加齢が原因の「卵子の老化」による不妊を恐れ、卵子が元気なうちに凍結する事例も増えており、日本生殖医学会では2013年11月に、卵子凍結が無秩序に広がらないように、卵子、卵巣の凍結保存を容認するガイドラインを定めている。
男性にも適用検討 こうした背景を元に、浦安市と順天堂大浦安病院では少子化対策の一環として、同市在住で、将来の出産に備えたい20歳〜35歳ぐらいまでの健康な女性の卵子を凍結保存する「プリンセス・バンク」構想を進めている。費用は保険適用と同等の3割負担を想定しているが、がんが見つかった女性の卵子凍結の費用は1割負担にとどめる考え。
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また、浦安市では同市在住の男性の精子凍結保存にかかる費用も3割負担で済むよう検討を開始しており、対象年齢など具体的な条件については、今後、大学と協議を進める意向だ。
これに対し、日本産科婦人科学会の倫理委員会は「健康な女性を対象とする卵子凍結保存は推奨しない」との見解を示している。
今回の浦安市の行動は国の不妊治療制度の充実に向けた第一歩になるだろうが、卵子凍結をしたとしても、高齢出産によるリスクが高いことに変わりはない。年齢などの問題から、全ての患者がうまく出産に至るわけではないということも広く周知させる必要があるだろう。
千葉県浦安市
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