望遠コンタクトレンズ?「2.8倍ズーム」はもはや映画の世界

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2015年02月22日 17:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

ユーザーが身につけて使用するウェアラブルデバイスが数多く登場し、巷の話題に上る機会が増えている。この分野のパイオニアとしての役割を帯びていた、『Google Glass』の製造打ち切りがファンに大きな衝撃を与えたとはいえ、今後の発展が期待されるジャンルだ。

昨今では主としてフィットネス系の利用、あるいはメインデバイスのサブ機器としての位置づけが目立つウェアラブルデバイスだが、体の動きを補助する“パワードスーツ”の開発が進められるなど、身体性を拡張させるような装置の登場も現実味を帯びてきている。

そんななか、先日開催されたアメリカ科学振興協会(AAAS)の年次ミーティングで、望遠レンズを搭載したコンタクトレンズの最新版プロトタイプや、ウィンクでズームをコントロールするメガネが発表され、注目を集めている。

超薄型望鏡を内部に持つ1.55ミリのコンタクト

スイス連邦工科大学ローザンヌ校のEric Tremblay氏は2月13日、カリフォルニアのサンホセで開催された大会で、研究を続ける望遠コンタクトレンズの最新版を発表。Tremblay氏は、このコンタクトが弱視や加齢黄斑変性といった目の症状に悩まされる人々にとって、治療の明るい材料になると自信を見せた。

カリフォルニア大学のJoe Ford教授やいくつかの企業、研究所との共同で進められるこのプロジェクト。2013年に最初に発表されてからは、米国防高等研究計画局(DARPA)の支援を受け、レンズの膜の微調整や、より長時間の快適な利用をめざした開発が進められてきた。

この1.55ミリの厚さのコンタクトは、超薄型の反射望遠鏡を搭載。表面の周りのごく小さな鏡が、目にする対象物のサイズを2.8倍のズームで拡大して見せ、双眼鏡で見たような効果を生み出すという。

また、目にとって必要不可欠な酸素を供給するために、約0.1ミリの微小な空気の通り道を加えたことが、前回からの大きな進歩になったようだ。

コンタクト ズーム ハイテク

まぶたの動きでコンタクトの倍率を制御するメガネ

この日、研究チームはあわせて、コンタクトと付随しての利用を想定したメガネを発表。このメガネは電気回路と光を探知する小型の機器を用いてまぶたの動きを認識することが可能で、同時に装着することでウィンクの動きによってコンタクトの拡大/ノーマル倍率の切り替えができるようになる。

ユーザーは右目をウィンクすれば拡大、左目ならば通常、といったスイッチングが行えるが、これは信号化された目の動きがメガネに角度の変更を指示し、コンタクトに入る光が変わることによって実現した。

メガネのない世界は近い?

専門的な内容となるため、国内外含め数多くのメディアがコンタクト単体で倍率を変更する機能を備えたと早合点してしまったようだが、もとよりこの研究の先にはそうしたビジョンが期待されていることは間違いない。

将来的には、疾患の人の治療に応用するほか、視力低下や水晶体の調整能力の弱まりが起こす老眼への有効な解決策になりうるのではないだろうか。

メガネをつけたり、替えたりする代わりに、まぶたや眼球の動きで倍率やピント調整が可能になるスマートなコンタクトレンズの登場は、SF的世界のなかにではなく、すでに現実の私たちの想像力の射程に入っているのだ。

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