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政府が昨年年6月に策定した『水素・燃料電池戦略ロードマップ』では、2015年度内に4大都市を中心に100箇所程度の水素供給ステーション整備を謳っている。
しかし、現時点で開業している商用水素ステーションは全国で7箇所に留まる。このような中、水素ステーションの普及という大きな課題は、“移動式”が解決に導くかもしれない。
水素ステーション設置の課題
水素を扱う事業者を悩ませていることの一つが、供給場所の確保だという。
政府が水素関連の規制緩和を進めているが、既存のガソリンスタンド設置条件と同じという訳にはいかず、隣接する建物との兼ね合いなどから安全確保に向けた広めの土地確保が難しいのが実情。
![TOYOTA_FCV_STATION](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/02/TOYOTA1.jpg)
一方で、昨年トヨタ自動車がFCV『MIRAI(ミライ)』を発売、今年度内にはホンダも発売を予定しており、水素ステーションの拡充が急務となっている。
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トヨタが移動式水素ステーションを準備
そこでトヨタグループの豊田通商が2月6日、ガス事業大手の岩谷産業とガス供給システムを手掛ける大陽日酸の3社で1,000万円ずつ出資して、移動式水素ステーションを運営する新会社、合同会社日本移動式水素ステーションサービスを設立した。
豊田通商は新会社の事業運営管理を行い、岩谷産業と大陽日酸が水素供給設備の製造、新会社への水素供給と現場管理を行うもので、大陽日酸が開発した移動式の水素ステーション『ハイドロシャトル』を活用して、FCV用の水素供給拠点を早期に確保しようという訳だ。
移動式水素ステーションの特徴は、定置式に比べて敷地面積が3割程度で済むことや、建設工期が6割程度で済むこと、そして設置コストが約5割(2〜3億円)と半分で済むことの3点。
![Hydroshuttle](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/02/Hydroshuttle_02-690x248.jpg)
高圧ガス保安法において、敷地境界や道路境界から8m以上離れていれば設置が可能で、新会社では一基あたり1.8億円の政府補助金を活用する計画という。
『ハイドロシャトル』はオフサイトステーション(工場で製造した水素をステーションに輸送する方式)としてはもちろん、場所を移動して水素を供給する出張ステーションとして、さらにはオンサイト(水素ステーション内で原料を改質して水素を製造する方式)からオフサイトに運ぶ運搬車としても活用が可能で、外部から電力や水、ガスの供給を受ける必要もないそうだ。
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新会社は3月下旬に日本初の移動式水素ステーションとして営業を開始する計画で、まずは東京都 千代田区でスタート。その後年央を目処に大田区や愛知県でも開設する予定で、計5台の『ハイドロシャトル』を投入予定だ。
FCV普及過渡期の切り札に
2月12日には平行してトヨタ、ホンダ、日産の3社が、水素ステーションの整備促進に向けた新たな協力体制を発表した。3社は今後、政府の補助金による支援のもと、水素ステーションの運営に係る費用の一部負担等、具体的な検討を進めていくとしている。
また、岩谷産業株式会社は現在、東京タワー直下に水素ステーション建設中だ。オープンは3月を予定しており、本格的な水素エネルギー社会に向けての新たなランドマークとなるはずだ。
政府は2050年までに運輸部門の温室効果ガス排出量80%削減を達成するために、2025年時点でFCVを200万台、水素ステーション1,000箇所程度を普及させるシナリオを描いている。2015年に水素ステーションが100箇所設置されれば、その数は先行するドイツ・米国等を抜いて世界一となるという。
そうした観点から、移動式水素ステーション『ハイドロシャトル』は世界の水素エネルギー社会のモデルとなる可能性をも秘めているといえそうだ。
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