なんと80ミクロン(0.08mm)の厚みしかない透明なフィルムのスピーカーが開発された。そのスピーカーは、『PVDF Piezo Film』という。
通常のフィルムのように切断したり曲げたりできる『PVDF Piezo Film』の利用アイデアが、次々と浮かんでくる……!
透明なフィルムが音を出す
『PVDF Piezo Film』の“PDVF”とは、Polyvinylidene Fluoride Piezoelectric Film(ポリフッ化ビニリデン圧電フィルム)の略で、まだ比較的新しいタイプの圧電装置を示す。
つまり、PDVFは均一なパターンで分子が整列した薄いプラスチックポリマーシートといえ、シートの両側には電導性のコーティングがされている。
ここに電圧を加えると、フィルムが収縮することで音を出せるということだ。
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このフィルム上に直接電線などをハンダ付けすることはできないが、各辺の縁にインクで導電層を印刷することで、通電できるようになる。
PDVFは薄く軽量であり、柔軟性もあるため、様々な形状に加工することができる。しかも耐衝撃性もあるのだ。
音源としては0.001Hz〜10GHzという広域の周波数をカバーしており、低音響インピーダンスを持ち、高い絶縁耐力と機械的耐久性を備えている。
また、耐湿性もあり、多くの化学物質に対して不活性であるという性質もある。けっこうタフな素材であるといえる。
そして『PVDF Piezo Film』は、通常のスピーカーのような高い電圧や複雑な電子機器を必要としない。しかも標準的なオーディオアンプを利用して高質な音を出すことができる。
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応用範囲のアイデアはいくらでも出てくるだろう
クラウドファンディングの『Kickstarter』では、『PVDF Piezo Film』の利用範囲について、紙のヘッドフォンや音が出る名刺に使える例を遠慮深く挙げているが、その程度では収まらないだろう。
例えば本やクリスマスカード、はがき、ディスプレイ用のガラス、壁、窓、鏡、カード型ラジオなど、いくらでも活用のアイデアは出てきそうだ。
とにかく、これまでスピーカーに厚みがあるために装着できなかったあらゆる物に利用できそうだ。モバイルデバイスも、スピーカーのためのスペースが節約できればさらなる進化を遂げるだろうし、スペースが小さい様々なウェアラブルの音源として利用できる。
『PVDF Piezo Film』が資金調達が成功し、量産されるようになれば、多くのメーカーも着目するはずだ。