寝台特急トワイライト「最終切符」 オークションで高く売る「転売ヤー」は違法?

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2015年02月27日 19:11  弁護士ドットコム

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今年3月で26年の歴史に幕を下ろす札幌〜大阪間の寝台特急「トワイライトエクスプレス」。3月12日に札幌・大阪それぞれを出発する最終便の切符が、2月12日午前10時、全国のみどりの窓口などで発売された。切符は発売直後に売り切れ、多くの鉄道ファンが肩を落とした。


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ところが、この最終便の切符が、完売直後からネットオークションに出品され、物議を醸した。出品されたチケットは、軒並み数十万円の高値で落札されている。



こうした出品者は、当初から転売の目的で切符を購入したとも思える。転売目的で切符を購入して、高値で売りさばく「転売ヤー」といわれる者の行為は、法的に問題ないのだろうか。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士に聞いた。



●ポイントは、転売の「目的」があったかどうか


「転売目的で切符を購入する行為は、多くの都道府県では迷惑防止条例で禁止されています」



たとえば、東京都の場合、迷惑防止条例には次のように書いてある。



「何人も、乗車券等を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を公共の場所又は公共の乗物において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わって買おうとしてはならない」(東京都迷惑防止条例2条1項)



これはどういう意味だろうか?



「いろいろ書いてありますが、簡単に言えば、『転売する目的で乗車券などを購入してはならない』ということです。



違反した場合、6月以下の懲役、または50万円以下の罰金(同条例8条1項1号)が科せられる可能性があります。繰り返し購入していた場合は、『常習犯』として罪が重くなります(同条例8条7項)。



つまり、実際に転売しなくても、転売目的で乗車券を購入しただけで条例違反になるというわけです」



転売目的かどうかは、どうやって判断するのだろうか?



「ネットオークションの説明文では、『自分で乗るつもりでしたが乗れなくなったので出品しました』という記載をよく見ます。



しかし、鉄道の乗車券は、わずかな手数料を払えば鉄道会社から払い戻しを受けることができます。



それにもかかわらず、完売直後のタイミングで、ネットオークションに高値で出品することは、転売目的があると推察できます。また、それを繰り返しているのであれば、常習といえるでしょう」



迷惑防止条例が定められていない都道府県であれば、転売目的の購入は問題ないのだろうか?



「条例がないからといって、摘発を免れるとは限りません。



過去には、チケットを高値で転売したケースで、条例ではなく『物価統制令』違反で、逮捕された例があります。



転売目的での乗車券購入は、控えたほうがよいでしょう」



岡田弁護士は、このように話していた。



(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
大阪弁護士会・消費者保護委員会委員(平成18年・19年度副委員長)、日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会幹事、関西大学法科大学院実務家教員(消費者取引法)

事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp



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