国内推定130人の難治性希少疾患〜トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーってどんな病気?〜

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2015年02月28日 12:10  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

2015年2月28日は世界希少・難治性疾患の日

(熊本大学大学院生命科学研究部 神経内科学分野教授 安東由喜雄先生)

 2月の最終日は、よりよい診断法と治療による希少・難治性疾患患者さんのQOL向上を目指し2008年にスウェーデンで始められた「Rare Disease Day 2015 世界希少・難治性疾患の日」(RDD)です。難治性の希少疾患で苦しむ患者さんは世界中におり、診断や治療法も未だ確立していないことも多くあります。その内の1つ、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)は、国内の推定患者数が130人程度の難治性の希少疾患で、遺伝性かつ進行性の致死的な神経疾患です。

 ファイザー株式会社は、TTR-FAPの認知と患者支援の促進をめざしプレスセミナーを開催。熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野教授の安東由喜雄先生を招き「家族性アミロイドポリニューロパチーの歴史とこれからの展望」と題した講演が行われました。

解らない、治らない、けれど諦めない時代から治る時代へ

 アミロイドーシスは、正常なら体内では溶けていたたんぱく質が、ナイロンのような状態で蓄積しさまざまな臓器障害を起こす病気です。アミロイド化にかかわる原因たんぱく質は現在31種類確認されていますが、そのうちトランスサイレチンというたんぱく質が遺伝的に変異を起こし、全身のいたるところにアミロイドが蓄積し発症するのがTTR-FAPです。

 TTR-FAPは、手足の先に起こる温度や痛みの感覚障害や筋委縮、筋力低下といった運動障害、勃起不全、立ちくらみ、排尿障害、眼の奥の濁りや緑内障などの症状を起こします。多くは進行性で寝たきりとなり、発症から10年で死に至ります。患者さんにとって進行抑制が期待できる唯一の治療法は肝移植でしたが、ドナー不足や年齢、病状の進行具合などによってすべての患者さんが受けられませんでした。そうしたなか、対処療法しかなかったTTR-FAP患者さんの福音となったのが、2013年に発売されたTTR-FAPの末梢神経障害の進行抑制に対する国内初の治療薬「ビンダケル(R)」(一般名: タファミジスメグルミン)です。しかし、進行の抑制には効果がありますが、進行した病状の改善への効果が少ない、高い薬価など課題もありました。

 「肝移植もタファミジスメグルミンもアミロイド化が進行していない患者さんには有効です。ですがいったん蓄積したアミロイドを除去したり溶かすことはできず、効果は少ないのが現状です。そのため早期に診断し治療をする必要があります。将来的には蓄積したアミロイドを溶かすことを目的とした抗体治療の研究開発を目指しています」と安東先生はいいます。

 老化によって起こるがん化や石灰化とともにアミロイド化も21世紀には克服されるべきもっとも重要な疾患の1つであり、今後の研究や治療の開発が待たれます。(QLife編集部)

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