ペンで描いた場所がセンサー化?血糖値や有害物質を計測するバイオインク

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2015年03月12日 20:40  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

以前、血液中の血糖値を測定することができる“タトゥーシール”型のデバイスを紹介した。今回は、同じ研究チームが発表した新たな手法を紹介する。それは、もっと“シンプル”だ。

特殊なインクを使って、ペンで皮膚の表面にセンサーを“描いて”しまうというものだ。カリフォルニア大学サンディエゴ校がウェブサイトで報じている。

だれでもセンサーが作れる

これを使えば、診療所の医者でも、家にいる患者でも、戦場にいる兵士でも、“誰でもどこでも”センサーを作ることができてしまうというのだ。使うのは、グルコースをはじめとするいくつかの物質と反応するハイテク・バイオインクだ。それを使ってセンサーを描くことで、皮膚の上で直接グルコースを測ったり、葉の上で汚染を検知することができる。

Sensor_Ink03

あるいは、スマートフォンにヘルスモニタリングセンサーを描いたり、建物の壁に有害ガスを測定するセンサーを描いたり、戦場で爆薬や神経ガスを検知するセンサーを描いたりすることもできるという。

この研究の最大の成果は、化学的あるいは生化学的薬品から、人体や植物に害がなくセンサーの電極として働くことができるインクを作り出したことだ。しかも、その機能は様々な状況下で、一定の期間その機能をキープすることができる。

研究者たちは、生体に害のないポリエチレングリコールを接合剤として使うことにした。インクに電流が流れるようにするためには、グラフェン・パウダーを仕様。そしてインクが様々なものに粘着するようにするためにはキトサンを使い、化学物質に反応する酵素を安定させておくためにキシリトールを用いた。

有害物質の検出も可能

冒頭でも触れたが、このセンサーは糖尿病患者の血糖値検査をより簡単にするための研究のなかから生まれたものだ。以前紹介したタトゥーシールでは、シール上にこのインクを使ってセンサー・パターンを描いていたが、ペンで直接皮膚に描くことでも血糖値は計測できるという。そして、ポテンシオスタットというデバイスを使って、そのセンサーのデータを取得する。

このペンを使ったセンサーは、フェノールや重金属や殺虫剤などの汚染物質や有害物質を検知するように修正・調整することもできる。次の段階は、このセンサーをワイヤレスでモニター装置と接続させる方法の開発や、極端な温度や湿度、長時間の直射日光の下など、むずかしいコンディションでのセンサーの作動だという。

Sensor_Ink02

もちろん、糖尿病を患っているひとの血糖値検査が楽にはなると思うが、そのほかにはどのような場面で役に立つだろうか? 有害物質が発生しやすい場所でいちはやく検出できるようにしたり、戦闘員の危険を減らしたりするのは、やや特殊な用途だ。

もっとも、簡単で低コストなセンサーが実現すれば、様々なビッグデータの採取が可能になり、われわれの生活に大きな影響をもたらすことになるのかもしれない。

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