骨折治療からのヒントで生まれた、バイオ3Dプリンタ

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2015年03月13日 12:40  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

骨がくっつけば細胞もくっつく!

(神戸医療イノベーションフォーラムにて撮影)

 現在、多くの研究者がさまざまなアプローチで臓器を作る研究をしています。中山功一先生(佐賀大学大学院 工学研究科先端融合医工学 教授)は、骨折の治療からヒントを得て、生きた細胞を材料にしたバイオ3Dプリンタを開発。その詳細について、2月に開催された「神戸医療イノベーションフォーラム2015」で講演しました。

 骨折した場合の治療方法は、折れた骨を集めて固定するというもの。子供であれば、単純な骨折は放っておいても自然にくっついて治るといいます。さらにひどい骨折の場合は、金属などを使って固定し、ピンで串刺しにして仮止めしておき、あとは生体が持っている治癒力でくっつくのを待てばいいのです。

 では、骨が自然にくっつくのであれば、細胞はどうか?

 中山先生は、骨折治療から着想し、生きた細胞を集めて置いておくことで、隣の細胞同士がくっつくことがわかったといいます。この仕組みを応用できれば、より安全で効果的な細胞を作り出すことかできるのではないかと考えたのです。

生きた細胞を材料にした3Dプリンタの可能性

 生きた細胞同士はそのまま置いておけばくっつきますが、乾燥に弱い細胞は身体の外に出してしまうと干からびて死んでしまいます。そこで、バイオ液などの中で作業を行なってみたところ、今度はちょっとした振動で形が崩れてしまうという問題が発生しました。そこで、骨折の治療法からのアイデアを活かし、細胞がくっつくまで針で仮止めしておく方法が試みられたのです。しかし、手作業で行うと30時間もかかってしまうため、これを機械で行なおうと3Dプリンタの開発に取り組むことになったのだそうです。

 これを使えば長い血管を作ったり、将来的には臓器も作れるのではないかという期待が集まっています。自分の生きた細胞から作るから安全なのだと語る中山先生も、骨折治療からのヒントがここまで可能性を秘めた研究に広がるとは、思いもよらなかったのではないでしょうか。(佐藤裕子)

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