明るさをユーザーごとに最適化してくれる「知覚認識」照明システム

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2015年03月13日 17:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

人間は意外と明るさを正確に認識できない。写真が好きなひとならわかるかもしれないが、被写体が、自分の感覚と比べてずっと明るかったり、逆に暗かったりということがあるものだ。人間の目は瞳孔のサイズを変えることで明るさを自動調節してしまうので、ある程度の範囲内の明るさの変化はわかりにくいのだ。

そういう意味では、機械による明るさの測定に頼ってみてもいいのかもしれない。スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究チームが、人間にとって快適な環境の明るさを測定するデバイスを開発しているのだ。同校のウェブサイトでニュースとして紹介されている。(写真はイメージ)

カメラを使って視覚的快適さを検知

屋内の照明システムは、ひとにとって快適な明るさと消費電力の削減をいかに両立させるかという観点において、50年以上にわたって研究者の関心をひいてきたテーマだという。同校の太陽エネルギー・建築物理学研究所のチームは、そのテーマに対して、新しい方法で取り組んでいる。人間のような知覚が可能なビデオカメラのレンズを使うという手法だ。これは、視覚的快適さを計測する最初の方法だという。

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研究者たちは、様々な強さの光をキャッチできる(ダイナミックレンジの広い)広角カメラを使用し、そこに同研究室で開発したフィルターを装備させることで、視覚的快適さの指数を算出できるようにした。このカメラはスイス・ヌーシャテルのCSEM(スイス電子工学・マイクロテクノロジー・センター)と緊密に協力をして開発したものだという。

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しかし、最初の段階では視覚的快適さを正確かつ自動的に計測することはできず、現在の第2段階においてはカメラから得られたデータを使ってリアルタイムに計測・算出できる実験ツールを開発中だ。

なお、このカメラは視界のどこに人間がいるかも認識できるようになっている。そしてユーザーの仕事環境を把握できるように、カメラはコンピュータースクリーンの上に設置するか、スマートグラスに直接組み込めるようになっている。

オフィスの照明をスマートに

またこの記事では、デバイスがオフィスにおけるひとびとの気分や認識能力に与える照明の影響を、体内時計とも関連づけて研究する新しい道筋を開くものだと書いている。

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私たちは、一定の照明の強さが、ひとびとに機敏さや生産性を喚起するのに必要であることを知っています。そしてこれは、省エネとも関連する試みなのです。

第2段階のプロジェクト担当者であるAli Motamed氏は、その視覚的快適さと省エネというふたつの課題のために、時刻やひとのいる位置に応じて自然の光も人工の光も、あらゆるタイプの光を活用するつもりだという。

筆者の感覚でいえば、室内の照明の調節なんて機械に任せなくても、人間がつけたり消したりすれば済むことだと思う。計測・判定するデバイスに電力や費用を使うことのほうがムダのような気がする。

とはいえ、そんな考え方は古いのかもしれない。小型デバイスは非常に安価になり、省電力になってきている。自動化をすすめることで、トータルでメリットがデメリットを上まわれば、採用するべきだろう。

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