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日本時間3月10日未明に発表された、新MacBook。12インチのRetinaディスプレイ、13.1mmという薄さ、920gという軽さ。シルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色展開。感圧式のトラックパッド。そしてUSB/ディスプレイ/HDMI/VGA/電源を1つの端子でまかなえる“USB-C”端子の搭載。すべてが新しいMacBookとなっている。
Retinaディスプレイと薄さ、軽さに関しては、MacBook Airを凌駕しているが、ある程度予想できる範囲ではある。一番驚いたのは、USB-C端子だ。
先ほども書いたとおり、USB-CはUSB/ディスプレイ/HDMI/VGA/電源を1つの端子でまかなえる新規格。そして、コネクタの上下の区別がなく、どちらから差してもOKという点が挙げられる。このUSB-C自体は一般的な規格のため、新MacBookだけではなく他のPCにも今後搭載されていくと予想される。
新MacBookの驚きは、このUSB-C端子1つしか外部接続端子がないということだ。
ひとつしかないUSB-C端子から見えるPCの未来
USB-C端子しかないため、ACアダプタで充電をすると、ほかに何も接続できない。新MacBookに給電しながら、外部ディスプレイに接続することもできないし、iPhoneへの充電も行えないということだ。
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![150313USB-C-01](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/150313USB-C-01-690x347.jpg)
なぜこのような仕様になったのだろうか。本体の薄さ、軽さを実現するために不要なポートは極限まで排除したかったのかもしれない。公式には「ワイヤレスな世界のため」と解説されている。
Wi-FiとBluetoothですべての周辺機器と接続できる世界を、新MacBookで実現しようとしているのだ。その考え方はアップルらしいと思えるものだ。これまでもDVDドライブを排除するといったことを行ってきた。当初は不便だと思ったものだが、今や音楽や動画、ソフトはインターネットからダウンロードするのが当たり前の時代になった。
アップルは、ちょっと先の未来を見ているといってもいいだろう。しかしUSB-C端子1つだけというのは、実に不便だと思う。同時にいくつも周辺機器を接続できないのは、メインマシンとして使うにはいささか不安だ。
![150313USB-C-03](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/03/150313USB-C-03-690x480.jpg)
アップルからはUSB-C端子を拡張するためのマルチアダプタ『USB-C Digital AV Multiportアダプタ』(9,500円税別)が発売される。実質、これがないと思うようには使えないだろう。
新MacBookは新しいPCへの第一歩
多分、アップルはそのような反応があることは承知のはずだ。しかし、USB-C端子は1つという決断を下した。そこにどんな意味があるのだろうか。
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それは“完全なワイヤレスの世界”への始まりなのかもしれない。現状は新MacBookへの給電も、iPhoneの充電も、外部ディスプレイへの接続もケーブルなしでは行えない。しかし、アップルはこれらも無線化するつもりなのではないだろうか。
無接点充電の技術を採用することで、ケーブルレスでの給電や充電を可能にし、Wi-Fiによる外部ディスプレイ接続の新規格を開発。そして、数年後にはそれが当たり前のようになり、ケーブルを接続するという行為が古めかしいものに感じることだろう。新MacBookのUSB-C端子は、アップルが目指す“完全なワイヤレスの世界”への決意表明だ。
すでにアップルには、“完全なワイヤレスの世界”が見えているのかもしれない。そう考えると、たったひとつのUSB-C端子ですら、もしかしたらなくなってしまう可能性もある。そしてそれが、アップルが思い描いている“完全なワイヤレスの世界”なのだろう。