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こんどは「ワーキングマザー」がキラキラなんですか!―― 変化する「素敵な母親」像

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2015年03月16日 10:31  MAMApicks

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電車のドアの上方、広告用の小さなスクリーンが視界の隅で動いている。パリッとしたスーツを着た、いかにも美しい感じの女性がきりりと現れ、その手前に現れた文字列で、「私は仕事も育児も趣味も全部実現」といった趣旨の表現が展開され……。

何のCMだったか見る間なく一瞬の出来事だったけれど、その、執拗なまでにキラキラした背景に、白系スーツと黒いロングヘアで立っている誇らし気な女性を見て実感した。

これは完全に「素敵な母親=仕事と育児両方」イメージにシフトしたな、と……。


■「素敵な母親像」は変わる
この「素敵な母親像」の変化は、ここ数年ずっと感じ続けていたことではあるのだけれど、こんな風にあまりにも安易なデザインで描写されるようになったということは、すでに相当イメージのシフトチェンジが完了した、ということだと思うのだ。

このとき反射的に思い起こしたのは、私が出産した9年前。メディアが発信するのは、「子育てして『ても』美しいママ」像が主流で、やっぱり、相当うんざりするほど、キラキラしていたのだ。

当時の「育児はしてても美しいママ」と、今の「子育ても仕事も両立する女性」、両者の執拗なキラキラのさせられ度は、とっても「同じ」に見える。

■「育児・家事専業」者のイメージも変わった
「育児・家事専業」の女性は、今だっている。その社会的な位置付けだけでなく、イメージも時代によって変化してきた。

70年代ならば「専業主婦」は花形で素敵で、子育て自体に「意義や目的」を見出した人も多い。今から9年前は、「オシャレ」とか「趣味を生かして○○○○を……」とか、何らかの付加価値のある専業主婦が、「素敵」だった。

そして今や、「育児しかしてない」って、ちょっと分が悪い感がないだろうか。もう、すっかり「素敵」じゃなくてなってしまった、とあの車内広告を見て、実感した。

■働くことがファッション化される危惧
数年前まで主流だった、「スーパーワーキングマザー」のようなあまりにハイスペックで普通にはとても真似できそうもないモデルは影をひそめつつある。ごく普通に働き、ほどほど夫と育児と家事を共有し……、そんなモデルもだいぶ浸透してきた。

でも、それはそれで「保活で苦労する」とか、「子どもの突然の熱に振り回され、なんとか立ち回る」とか、「会社から保育園にダッシュ」とか、「小一の壁」とか、そういう苦労をしていないと一人前として認められないような、なんだかそんな居心地の悪さも、ちょっぴり感じるのだ。

「ワーキングマザー」という言葉がどこか「素敵」感をまとい、そういう「てんてこまい」自体がファッション化してしまうのは、なんだか、嫌だ。

■現実の世の中は多様
「素敵」であることに人は敏感だ。だから、今のムードを見て、「仕事していない私」にダメ感を持つ人もいるかもしれない。逆に「仕事をしていない母親」を下に見る人も出るかもしれない。

でも、世の中は、多様だ。

「会社の制度で育休に入って『保活』して復帰して子どもが小さいうちは時短勤務で乗り切ってキャリアをつなぐ」というのはひとつのきれいな復職モデルでしかない。

家事育児中心でパートをほどほどにやる人、自分が働かなければ家族全員生活に困る人、夫の収入で生活できて育児家事だけやりたい人、ふたりとも働いてぎりぎり食べている人、夫に家事育児を任せて収入担当として働く人、夫婦共に仕事が好きで十分な収入を得ている人……現実は、流行りとは違うところにある。

だから、このムードだけを理由に、自分の在り方を否定することはないし、逆に、排他的になってもいけない。

■主流は歓迎、流行りに負けるな
時代と社会が作り出す「主流」が、女性が普通に働き、男性も働き方を見直す方向にきているのはすごくうれしいことだ。

男女共に働き方を変えて、収入も、育児を含む家庭内の生活もバランスがとれる道を模索するのは今とても必要なことだと思う。それに向けて地道に問題解決に取り組んでいる人たちのことは尊敬するし、支持する。

それらを後押して盛り上げるためにも、女性が働くときの問題をクローズアップして大きく取り上げるのは大切なことだし、わざとわかりやすく派手に取り上げることも時には必要かもしれない。

でも、そこから勝手に派生した「素敵イメージ」は、本来の意味とは乖離して無責任にひとり歩きしだすから要注意。

キラキラの「仕事も育児も両立する女性イメージ」により、女性が不完全感や排他的な意識を持ったり、男女両方の問題であるべきことが、「女性のための取り組み」としてだけ語られたりすることにつながったら、とても残念だ。

今さら、ファッション化してキラキラさせなくていい。
キラキラした部分は、無責任に流行りとしていずれ去っていく。

大切な部分をつかんで、見誤らないようにしたい。

狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。

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