医療の近未来がここにある!日本科学未来館の新展示「細胞たち研究中」がスタート

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2015年03月20日 11:30  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

本物のiPS細胞・ES細胞・体性幹細胞を見比べよう!

「5つのiPSストーリー」シアター外観

 ヒトの神経や骨などを人工的に作り出し、組織や臓器を修復する再生医療。近年、iPS細胞やES細胞の登場などにより、その研究は目覚ましい進展を見せています。この再生医療の“今”と“未来”を伝える常設展が東京・お台場の日本科学未来館(未来館)で本日3月20日から始まります。

 新展示の名前は「細胞たち研究開発中」。iPS細胞をはじめ、今まさに“研究開発中”の幹細胞研究について、また、生命の基本単位である細胞の原理がどのように再生医療につながっているのかを分かりやすく紹介します。

 展示の中心は、iPS細胞をめぐる近未来のシミュレーションを体験できるシアターゾーン。5つのシアターでは、人々が病気や怪我に直面する場面が描かれ、iPS細胞という選択肢と向き合い、体や生命をコントロールする可能性について考えます。また、iPS細胞などの幹細胞研究について、実際の研究内容や研究者の声をパネルや映像で紹介、本物のiPS細胞、ES細胞、体性幹細胞の展示も行われます。

ノーベル賞受賞者の山中教授「科学技術は猛烈なスピードで進歩している」

東京大学 浅島誠名誉教授

 科学面の監修には、発生生物学の第一人者である東京大学の浅島誠名誉教授、iPS細胞の発見でノーベル賞を受賞した京都大学 iPS細胞研究所[CiRA]の山中伸弥教授が参加。展示の公開にあわせて、iPS細胞の作り方を知り、その特徴を観察する実験教室も定期的に開催されます。

 20日のオープンを前に行われたプレスセミナーで講演した浅島名誉教授は、「今、細胞治療の研究は、世界中で行われています。その中で、どういった細胞を使うのか、我々やみなさんに問われている問題です。iPS細胞、ES細胞、体性幹細胞、それぞれの特徴を知り、自分たちの体を理解していただきたいと思います」と今回の展示を通じて、再生医療の現状と未来を考え、「生命の美しさ、私たち自身のすばらしさ、生物多様性を理解していただきたいと思います」と語りました。

 また、山中教授は「科学技術はこれまでになかった猛烈なスピードで進歩を遂げています。今は治せない病気やケガであっても、10年後、20年後には治せるようになる可能性が膨らんでいます。しかし、一方で人間の生命にどこまで手を加えていいのかという問題をはらんでいます。こうした生命倫理の問題は、みんなで話し合って答えを出さなければなりません。今回の展示がそのための大きな助けとなることを期待しています」と、この展示が未来を考えるうえで、重要な役割を果たすと期待を寄せました。(QLife編集部)

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