文字がその場で音声になる視覚障害者のためのフィンガーデバイス

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2015年03月23日 17:30  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

これまで目に障害を持つ人が読書をする際には点字図書や録音図書を利用してきたが、現在ではそうした多くのものはデジタル化され、格段に利用しやすくなっているようだ。

テクノロジーの発達が人々を助けている好例と言えるが、つい先日には“書かれたテキストを即座に音声に転換する”驚きのデバイスが開発されたという。

内蔵したカメラが紙に印刷されたテキストを音声に転換

マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボは、視力や視野に障害を持つ人が利用する“フィンガーマウントデバイス”のプロトタイプを公開した。指先に装着するこのデバイスは、内蔵したカメラが紙に印刷されたテキストを音声に転換することが可能だという。読み取った文字をリアルタイムでユーザーに伝えられるほか、指先が文章から離れないためのガイドとしても働くなど、目の不自由な人の読書体験をより身近で容易なものにしてくれるアイテムとなっている。

研究の中心となったメンバーのひとり、MITでメディアアート&サイエンスのプログラムを学ぶ大学院生Roy Shilkrot氏は、「目に障害を持つ人にとって、これは”翻訳”のようなもの。指が“見たこと”を音声に訳している」と話す。

以前に、離れた場所にある障害物の情報をユーザーに伝えるフィンガーマウントデバイスを開発したピッツバーグ大学のGeorge Stetten氏も「目の動きの代わりに指を用いるのは良いアイデアだと思う。指は目のようにすばやく動かしたり、調べたりすることができるからね」と、今回の研究を評価しているようだ。

MIT-blind-reader-02

独自のアルゴリズムがリアルタイムの転換を実現

開発中の段階では、現在のもののほかに振動するモーターが搭載されたバージョンもあり、ユーザビリティの比較調査には視覚障害者のボランティアが協力したという。ユーザーの指先が文章から離れたのを知らせるために、モーターを振動させるか、音量を大きくするか、どちらの方法がよいかについて明確なコンセンサスは得られなかったため、研究チームはより小さく、軽いオーディオによるフィードバックを採用することにしたという。

Shilkrot氏は文字のスキャンから音声への転換には「とても速い、リアルタイムのフィードバックが必要」だと説明しているが、このリアルタイムのパフォーマンスの実現には、彼らが開発したカメラの映像を処理するアルゴリズムが鍵になっている。このアルゴリズムは、書かれている文字のベースライン部分から大量の推測を行うと同時に、カメラが通り過ぎた個々の単語を探知することができる。

この両方向からのアプローチにより、カメラが傾いていて歪んだ文字がスキャンされたような場合でも、正しい単語に再調整することが可能なようだ。現在のところ、このデバイスはPCに接続した環境での使用に限られるが、アンドロイド上でソフトウェアを動かせるように開発が進められており、実現すればより便利になりそうだ。

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