カマンベールにアルツハイマー病の原因物質の沈着を抑える成分

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2015年03月25日 11:50  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

国内で460万人が苦しむ認知症

画像はプレスリリースより

 高齢化が進む日本で、大きな社会問題となっている認知症患者の増加。現在、国内では約460万人、世界全体では約2400万人もの認知症患者がいるといわれています。しかし、未だ有効な治療法や予防法が開発されず、多くの人が苦しんでいます。

 これまで、チーズなどの発酵乳製品を摂取することで、認知機能の低下予防を示唆する疫学的な報告はありましたが、詳細なメカニズムやその有効成分は不明でした。そのようななか、東京大学大学院農学生命科学研究科が「アルツハイマー病の症状を再現したマウスで、カマンベールチーズの摂取により脳内でアミロイドβの沈着が抑制された」と発表し、注目を集めています。

オレイン酸アミドとデヒドロエルゴステロールを同定

 今回の研究では、アルツハイマー病を再現したマウスに、市販のカマンベールチーズから調製した飼料を食べさせました。するとチーズの成分を含まない試料を食べさせたマウスと比べ、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ(Aβ)の沈着が減少し、脳内の炎症も緩和されることがわかったのです。

 また、脳内で異物の排除を担う「ミクログリア」の、アミロイドβを除去する機能(貪食活性)と抗炎症活性について、その働きを促進させる物質を、カマンベールチーズの製造時に用いられる白カビで発酵させた乳から探索。その結果、オレイン酸アミドとデヒドロエルゴステロールを同定しました。これらの成分は、白カビによる発酵工程で生成された可能性が示唆されています。

 今回の研究により、発酵乳製品による認知症予防効果の一端が明らかになりました。研究チームは今後、具体的なメカニズムの解明など、さらなる研究や、将来的な認知症予防への貢献が期待されるとしています。(笹田久美子)

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