サイボーグビートル!? 昆虫を操縦できるようになるのかも

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2015年03月26日 11:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

人間が昆虫の動きを自由にコントロールし、役立てる。そんなアニメや特撮映画のワンシーンのような場面が現実になるかもしれない。つい先日、そうした可能性を示す論文が専門誌に発表され話題になっている。

超小型のコンピューターを背負わせた昆虫を飛行させる

研究チームはハナムグリやカナブンといった昆虫に、超小型サイズのコンピューターとワイヤレス受信器を背負わせ、飛行する際の神経筋のデータを記録。その結果、ハネの折り畳みをコントロールする筋肉として知られていた部位が、飛行時のかじ取りで重要な働きをしていたことがわかった。そして、この発見は昆虫の飛行をより高いレベルで操作することを可能にしたという。

発表したのはシンガポールの南洋理工大学でアシスタント・プロフェッサーを務める佐藤裕崇氏と、佐藤氏が以前に所属していた研究室の室長でもある、カリフォルニア大学バークレー校のアソシエイト・プロフェッサーMichel Maharbiz氏。論文は生物学の学術雑誌『Current Biology』に掲載されている。

これまで生物学者が空を飛ぶ昆虫を研究する際には、繋ぎとめた状態で測定・記録を行う必要があった。一方で、そうした状態が昆虫の自然な飛行をどの程度妨げるかについては、わかっていなかったそうだ。そこで、佐藤氏らは異なるアプローチを採用。それが“サイボーグビートル”とも呼べる方法、つまり昆虫に記録装置を背負わせて自由に飛び回らせるという方法だ。

サイボーグビートル 昆虫

決定的な働きの筋肉を発見し、ハイレベルな制御が可能に

研究に使われた昆虫は、マイクロコントローラーや受信機を搭載した小さな装置を背負い、6本の電極が脳の視覚情報処理をする“視葉”やハネの筋肉に接続された状態になる。装置全体の重さは1グラムから1.5グラムほどで、小型リチウムバッテリーで駆動する。

研究者は、飛行中にこの筋肉を刺激し機能をテスト。信号はミリ秒単位で送られ、昆虫が飛翔し、左右に方向転換して、空中にホバリングするよう指示した。このように、空中での動きを制御すると同時に、ハネの筋肉の動きについてもデータを収集。その結果、専門的には“3Ax”と呼ばれる脇の下の硬皮にある筋肉が、方向を制御するうえでカギとなる機能を担っていることが発見された。


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以前は、コントロールとはいうものの相対的に昆虫の自然な飛行に頼る部分が大きかったそうだが、この発見によって、より高い水準で飛行のコントロールが可能になったとのことだ。この研究は、将来的に災害現場などでの救難捜索の場面で応用することが期待できるという。自らの重さよりも重い積載物を運ぶことのできる昆虫を利用したのには、こうした理由もあったようだ。

人が入ることができない災害現場で、小型マイクや温度センサーを搭載した昆虫が飛び回り、中にいる人の安否を確認する、といったシーンを目にする日はそう遠くないのかもしれない。さらなる研究の発展に期待したいものだ。

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