がん患者の精神的、社会的つらさにも着目 「つらさ軽減プロジェクト」本格始動

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2015年04月01日 12:10  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

身体以外のつらさは伝えづらい

 日本人の2人に1人ががんになるといわれる昨今、がん患者が安心して暮らせる社会づくりは、多くの人にとっての身近な問題といえるでしょう。特に、がんと診断された時からの心のケアをどうするか、そして抗がん剤治療などにともなう身体的なつらさをどう緩和していくのか、がん患者だけでなく、それを支える家族にとっても大きな関心事です。

 塩野義製薬株式会社が、がん患者293名を対象とした調査を行ったところ、抗がん剤治療中に約7割が「疲れ・だるさ」を感じ、5割が「髪が抜ける」、「吐き気・おう吐」など、身体的つらさを経験していることがわかりました。また、約6割が心のつらさを体験し、治療費など経済的なつらさや社会的なつらさを感じている人もおなじく6割に達しています。

 「そのつらさを医師や看護師に伝えましたか?」という問いでは、身体的つらさについては約6割の患者が「我慢せず伝えた」と回答していますが、不安など心のつらさや経済面のつらさは7割以上が「伝えずに我慢した」と回答。身体以外のつらさは伝えにくいのが現状のようです。

つらさや痛みを素直に伝えられるように

 このような現状を受けて塩野義製薬では、つらさの撲滅を目指す緩和ケアプログラム「つらさ軽減プロジェクト」を2015年4月から展開します。

 まずは、「がん患者さまが医師や愛する人たちに痛みを訴え、より良い治療を受けられるように働きかけましょう」をテーマに、世界94か国29万人のクリエイターを対象とした映像コンテストを実施。4月中旬から同社のホームページやYouTubeで公開します。

 あわせて、がん患者、家族、医師の間のコミュニケーションをより活性化させるためのツールとして、パソコンやスマートフォン用のアプリ「つたえるアプリ」と、「つたえるノート」を2015年7月から順次、配信していきます。また、同社内に専門チームを創設し、診断時からの疼痛治療をトータルに提案するなどの活動を展開していく計画です。

 もし、自分ががんと診断されたと考えたら、がんのつらさは決して他人事ではないでしょう。がん患者が、素直につらさや痛みを訴えられるような治療環境づくり、社会づくりに向けた、具体的な第一歩が踏み出されたようです。(今田志野)

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