CMでおなじみ正露丸「ラッパのメロディー」商標登録に出願ーーどんな意味があるのか

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2015年04月04日 14:11  弁護士ドットコム

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「パッパラパッパ」で始まる、あのメロディーを聞けば、すぐに連想されるラッパマークの「正露丸」(胃腸薬)。テレビCMでおなじみのメロディーのほうが、社名よりも認知されているのではないだろうか。その大幸薬品が4月1日、ラッパのメロディーの「商標登録」を特許庁に出願した。


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商標法の改正で、新たに「音」や「色彩」「動き」なども商標として登録できるようになったためだ。登録が認められるためには、音や色彩などが商品やサービスと結びつき、広く認知されているという条件を満たす必要がある。大幸薬品の正露丸のメロディーについては、1951年にラジオCMで使われて以来、広く知れ渡っているといえそうだ。



では、音や色が商標として登録できるようになることで、企業にはどんなメリットが生じるのだろうか。逆に、それによるデメリットや課題はないのだろうか。商標にくわしい南部朋子弁護士に聞いた。



●世界的な「ブランド戦略」が容易になる


「『音』や、輪郭のない『色彩』の商標登録が認められれば、企業には商標登録した音や色彩を自社の商品やサービスを示すものとして、独占的に利用できるというメリットがあります。ちなみに、米国など諸外国では以前から、音や色彩の商標登録が認められてきました」



南部弁護士はこのように説明する。



「たとえば、日本では貼り薬『サロンパス』で有名な久光製薬株式会社は、米国で音の商標(ヒ♪サ♪ミ♪ツ♪)を登録済みです(商標登録番号2814082)。



この音の商標は、米国特許商標庁のウェブサイトhttp://www.uspto.gov/trademarks/soundmarks/で聞くことができます」



大幸薬品の「メロディー」も、2004年に香港で商標登録されている。このように、すでに外国で音や色彩の商標を活用している企業にとって、さらに日本で商標登録が認められることには、どのようなメリットがあるのか?



「商標登録が認められることで、日本でも『商標権』という強力な権利で守られることになります。これによって、企業は商標権者として、第三者に対し、登録商標である音や色彩を日本で勝手に使用することを差し止めたり、損害賠償を請求するといった権利行使ができるようになります。



加えて、音や色彩の商標は、文字商標と比べると、使用言語が異なる外国でも認識されやすいという特徴があり、世界的なブランド戦略がより容易になるというメリットがあるでしょう」



●商標権侵害をめぐる「紛争」が増える可能性も


では、音や色彩の商標登録が制度化されることで、何かデメリットは生じないのだろうか?



「各企業は、他社が商標登録した音や色彩、そして、これに似た音や色彩を使わないように、細心の注意を払わなければならないというデメリットがあります。



音や色彩が同じなのか、似ているのかという判断はそう簡単ではありません。登録された音や色彩の商標の『権利が及ぶ範囲』がわかりにくいために、ある企業の宣伝活動が商標権侵害にあたるとして、紛争になるケースが増えるかもしれません」



南部弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
南部 朋子(なんぶ・ともこ)弁護士
著作権法、商標法など知的財産法や国際取引をめぐる法律問題を担当している。ロボットをめぐる法律問題についても研究中。主な著書に『図解入門ビジネス 最新 著作権の基本と仕組みがよ〜くわかる本(第2版)(秀和システム)(共著)』。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/


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  • こんなん言い出したら、“浪花のモーツァルト”キダタローなんて、これでもかいうぐらいありそう(笑)!
    • イイネ!11
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