すべてのジェノタイプ1患者さんの治療選択肢
日本初のC型肝炎インターフェロンフリー治療薬「ダルクインザ/スンベプラ」が2014年9月に発売されてから6か月が経過。高齢や合併症リスク、副作用などの理由でインターフェロン(IFN)を含む既存の治療が受けられなかった患者さんの新たな治療選択肢となっていました。さらにIFNの治療歴にかかわらず、日本人で最も多いジェノタイプ1のすべての患者さんの治療選択肢として適応が拡大。4月7日にブリストル・マイヤーズ株式会社は、C型肝炎治療の第一線で活躍する3名の講師を招き、メディア向けセミナーを開催しました。
(写真左から、広島大学大学院消化器・代謝内科学教授 茶山一彰先生/虎の門病院分院長 熊田博光先生/JA北海道厚生連札幌厚生病院名誉院長 豊田成司先生)
C型肝炎治療の変遷と最新状況
現状日本におけるC型肝炎治療中の患者さんは高齢者が多く、欧米に対して肝がんの発生頻度が高い傾向です。また日本人はIFNの副作用に敏感なため、IFNを使用できない患者さんも多くいます。そのため、日本のC型肝炎治療の問題点は、IFNを使用できない症例への対応や前治療が無効だった患者さんへの治療です。2014年9月に日本初のIFNフリー療法であるダクルインザ/スンベプラが発売され、これまで高齢や合併症、前治療無効などで有効な治療がなかった患者さんに新たな治療オプションが加わりました。
発売から半年以上がたち、さまざまな治療成績がでてきています。ダクルインザ/スンベプラ2剤併用療法を評価した第3相試験(対象はHCVジェノタイプ1b型の日本人222人)では、治療選択が制限され他の治療に対して効果の低い患者さんに対して、トータル84.7%に効果があったという高い有効性が示されました。
「ダクルインザ/スンベプラは経口薬2剤を併用することで、他の治療が困難な患者さんやIFNベース療法が無効だった患者さんに対して、高確率でウイルス陰性状態の持続を達成しました。性別、年齢、HCV-RNA(C型肝炎ウイルス遺伝子)量、肝硬変などの背景因子にかかわらず、ウイルス学的有効性に影響はありませんでした。IFNフリーでダクルインザ/スンベプラの2剤併用療法は、患者負担も低く投与中止に至るケースは少数でした」と虎の門病院分院長の熊田博光先生はいいます。
|
|
また、JA北海道厚生連札幌厚生病院名誉院長の豊田成司先生は、ダクルインザ/スンベプラの2剤併用療法は、実臨床でも効果と安全性に関して概ね良好だといいます。C型肝炎ウイルス陰性達成後の肝がん危険因子の減少は、IFNを含む治療とダクルインザ/スンベプラ併用療法は同等であり、肝がんの発生抑制への効果が期待されます。
「今後発がんリスクの高い高齢者への投与が予想されるダクルインザ/スンベプラでは慎重なフォローが必要です。高齢化が進む日本では、有用な治療オプションになるでしょう」と豊田先生はいいます。
インターフェロン未治療・再燃患者さんへの適応拡大
ダクルインザ/スンベプラ併用療法の適応拡大により、IFNの治療歴に関わらず、すべてのジェノタイプ1のC型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変の患者さんが治療対象となりました。承認に先立ち行われた国内第3相試験では、未治療患者さんの89.1%、再燃患者さんでは95.5%の機能的治癒を達成しました。投与期間中の重篤な有害事象による中止例が5%ありましたが、機能的治癒は達成されていました。
「第3相試験により、ダクルインザ/スンベプラ併用療法は、未治療や前治療再燃患者さんに対して優れた有効性と安全性が確認されました」と、治験に参加した広島大学大学院消化器・代謝内科学教授の茶山一彰先生は述べられています。
IFNフリー療法も、医療費助成制度が適応されています。今回の適応拡大により、日本で最も多いジェノタイプ1のすべてのC型肝炎の患者さんの新たな治療選択として期待されます。(QLife編集部)
|
|
関連リンク
⇒元の記事を読む