認知症患者さんの思いを伝える「ふれあいつながる作品展」

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2015年04月10日 23:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

認知症を発症しても安心して暮らせる社会を

敦賀温泉病院 理事長・院長 玉井 顯先生

 アルツハイマー型認知症の治療薬を販売する小野薬品工業は、同社がウェブ上で行っている、認知症の方々が創作する作品を展示する作品展「ふれあいつながる作品展」のパネル展示と市民公開イベントを東京ミッドタウンで開催しました。

 イベントでは敦賀温泉病院 理事長・院長 玉井 顯先生が「認知症800万人時代を見据えて」というテーマで講演。「現在認知症の方は462万人いるといわれ、その予備軍が約400万人います。こうした現状から、仮に認知症を発症しても安心して暮らせる社会を実現すべく、さまざまな取り組みがなされています。その一環として、国が推進する『認知症サポーター養成講座』が企業や地域、学校でも始まっています」と玉井先生。

 「認知症サポーター」とは認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者のこと。玉井先生は「現在580万人(2014年12月末時点)の認知症サポーターがいます。その目印となるオレンジ色のブレスレット(オレンジリング)、オレンジバッジを持っている人が日本中に増えれば、認知症の人を支えられる地域になっていくのでは」と期待を寄せました。

 加えて玉井先生は、認知症の人の特徴として「食事をしたことなど、できごとそのものを忘れ、物忘れの自覚がありません。一方、昔のことや、車の運転などの技能は覚えています。そのほか、近所の道でも迷うようになったり、料理の段取りができなくなったりします」と代表的な症状について解説。こうした認知症患者さんへの対応の心得として、「驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない、という3つの『ない』が推奨されています。そして、認知症の人になにか役割を持ってもらい、そのことに対して『ありがとう』と言えるといいですね」と語りました。


自由な創作活動は脳の活性化につながる

「ふれあいつながる作品展」にて

 続いて、俳優・画家の片岡鶴太郎さん、京都精華大学名誉教授 NPO障碍(しょうがい)者芸術推進研究機構 理事長の松谷昌順先生も登壇。3名でのトークセッションでは、それぞれが選んだ印象深い作品を挙げました。

 片岡さんは、100歳を超えた入院患者さんが描いた『ひまわり』の作品を挙げ、「ひまわりを黄色でなく赤色をチョイスし、色鉛筆で何度も塗り重ねた作品で、非常に生き生きとした生命力を感じました」と惹かれた理由を述べました。玉井先生が選んだのは、色彩の鮮やかさが印象的な『梅雨のコーラス隊』。松谷先生は幻想的で美しいユートピア(理想郷)を描いた『いこいの道』を選びました。

 最後に、松谷先生は「周りの方のサポートも大事で、皆さんの温かい関わりが作品のなかに感じられます。これからもぜひ作品づくりを継続していってもらいたいと思います」と期待を寄せました。玉井先生は「誰もが参加でき、五感を使って絵を描くことは脳の活性化につながります。また達成感を得られたり、コミュニケーションの場にもなります」と、作品づくりが患者さんのリハビリになり、『ふれあい』にもつながると話されました。(QLife編集部)

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