舌苔とアセトアルデヒドとの関係
口の中を鏡で見たとき、舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)が気になることはありませんか。じつはこの舌苔、口や喉のがんと関係があるかもしれないのです。そんな、ドキッとするような調査結果がこのほど発表されました。
これは、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)予防歯科学分野の森田学教授らの研究グループが、同大医療支援歯科治療部と北海道大学山崎裕教授と共同で、「舌苔の面積」と「口の中のアセトアルデヒド濃度」について調査した結果から明らかになったものです。
調査では、健常者65人(男性51人、女性14人)を対象に、呼気の中にアセトアルデヒドがどれだけ含まれているかを計測しました。口の中のアセトアルデヒドは、口や喉のがんの原因になることが指摘されている物質です。
調査の結果、舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることが判明しました。つまり、舌苔の付着面積が大きい人は、それだけ多くのアセトアルデヒドが口の中で産生されていると考えられるというのです。
舌苔の清掃でがん予防?
なぜ、舌苔の付着面積が大きい人ほど、呼気中のアセトアルデヒド濃度が高くなるのでしょうか。その理由としては、舌苔に含まれる細菌の違いがアセトアルデヒド濃度に関与していると考えられています。
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これまで、口の中のアセトアルデヒドの発生原因としては、煙草やお酒が考えられていましたが、今回の研究では、舌苔からもアセトアルデヒドが発生していることがわかりました。舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少したのです。
今後、さらに研究が進められれば、舌苔とがんの発病との関係や、舌苔の中のどの細菌がアセトアルデヒドを産生しているのかなども明らかになる可能性があります。「舌清掃をすれば、がんを予防できるのか」といった疑問にも答えが見つかるといいですね。(下玉利 尚明)
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