地震計が不要に!? スマホで地震早期警報システムが構築できることが判明

1

2015年04月17日 19:10  FUTURUS

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震のあと、携帯電話、スマートフォンから鳴る緊急地震速報のアラートがひときわ不気味に感じられたひとは多いだろう。いっぽう、あのような地震早期警報システムが存在するのは、日本やメキシコ、アメリカ西海岸などわずかな地域だけらしい。

それは、地震を検知する地震計を各所に設置し、その情報から瞬時に警報を発するネットワークの構築が容易ではないからだ。ところが、スマートフォンが普及してさえいれば、そんな大がかりなインフラを必要とせずに、地震早期警報システムが可能になるという研究を、アメリカ地質調査所(USGS)が発表した。

スマホが地震計の代わりになる

ご存じのひとも多いとは思うが、地震早期警報システムとは、規模の大きい地震の発生を検知して即座に警報を発信し、震源地から離れたエリアのひとが、揺れが到達する前に地震の発生を知り、早めに対処できるようにすることを目指したものだ。

しかし、冒頭にも書いたとおり、世界的に見れば、大地震が起こりえるエリアでさえ、地震早期警報システムがカバーしている人口はほんのわずかだ。

USGSのサイトによれば、スマートフォンやその他の携帯デバイスが広く使われている地域なら、クラウドを使って大地震の際の緊急地震速報が可能になるという。既存の警報システムがないエリアでも、ずっと低いコストでシステムが構築できるし、既存のシステムがあるエリアでもそのシステムをサポートすることが可能になる。

研究によれば、スマートフォンなどの携帯デバイスに内蔵されたGPS受信機は、専用の機器より精度は劣るが、地震によって起こる地表の動きを検知できるという。そこで、登録ユーザーのスマートフォンからの情報をクラウドを使って集めることで、地震を検知し、分析し、地震警報をユーザーに発信することができるのだ。

中規模の地震は検知できない

研究者たちは、マグニチュード9を記録した日本の東北地方太平洋沖地震の実際のデータや、マグニチュード7クラスの地震のシミュレーションからクラウドを使った地震早期警報システムの可能性を検証した。その結果、システムは意外なほど少ない割合のスマートフォンのデータでも成立することがわかったという。

たとえば、大都市圏でも5,000人のスマートフォンのデータがあれば、地震を検知し、分析し、地震の揺れの広がりよりも速いスピードで警報を発することが可能だという。

ただ研究によればスマートフォン等の携帯デバイスのセンサーは、およそマグニチュード7以上の地震の検知には有効だが、それより小さい規模の地震には向かないという。マグニチュード7未満でも被害が生じることはありえる。

そういう意味では、既存の地震早期警報システムに完全にとって代われるものではないようだ。しかし、専用の地震早期警報システムはないけれどスマートフォン等は普及しているというエリアは多い。そういう地域では、このクラウドを使った地震早期警報システムは威力を発揮するはずだ。

brand-62874_1280

スマートフォンにはいくつものセンサーが搭載されていて、クラウドと情報のやりとりが可能だ。ひとつひとつのセンサーの精度は高くなくても、サンプル数が多ければ有効なデータになりえる。

以前FUTURUSで、“地域イベントの成功・不成功はWiFiで検出できる”という記事を書いたことがあるが、スマートフォンを活用したビッグデータの取得は、地震早期警報システムにかぎらず、これまでにない新しい研究を可能にするかもしれない。もちろん個人のプライバシーと関連した問題なので、気をつけなくてはいけない面もあるが。

    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定