FUTURUSでは様々なドローンを紹介してきた。自分で障害物を回避するドローン、障害物にぶつかっても落ちないドローン、水中も撮影できるドローンなど。
しかし今回紹介するのは、これまでとは全く異なる次元のドローンだ。ずばり、体内を移動するドローンである。少々むずかゆくなってくるが、このドローンは医療用で、動脈の治療を行い、心臓発作や脳卒中を防いでくれるという。
治療のために体内を巡るドローン
科学者達が開発したた『マイクロスコピック・ドローン(microscopic drones)』は、体内を巡って動脈の問題を見つけ出してくれる。その目的は、心臓発作や脳卒中の予防のために、動脈の損傷を修復することだ。
この『マイクロスコピック・ドローン』のサイズは、人の毛髪の1,000分の1だといい、プラスチックに近い素材でできている。『マイクロスコピック・ドローン』は心臓病の原因となる、脂肪やコレステロール、カルシウムから作られている動脈のハードプラークに到達するように設計されている。
そして目標に到達すると、『マイクロスコピック・ドローン』は炎症による損傷を治療するために、天然タンパク質に由来する薬物を放出するのだ。既にマウスによる実験が行われており、この治療方法を5週間行った結果、血管を塞ぐプラークをほぼ取り除くことができたという。
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研究リーダーのOmid Farokhzad博士らは、この研究成果は動物モデルにおけるアテローム性動脈硬化症を低減させるナノ粒子技術の初めての例であると語っている。このナノ粒子は、医療製品として承認された生分解性ポリマーから作られており、時間が経つと体内で溶解する。
SFのような治療技術が現実になる
研究チームは人での試験のために、『マイクロスコピック・ドローン』の薬物送達を最適化し、より効果的な抗炎症薬をパッケージ化する研究を続けていくという。
Omid Farokhzad博士は、この研究はエキサイティングな時間であるとし、ナノメディシンの未来が信じられないほど明るいのだと語っている。
私たちの体の中を、ドローンが治療しながら動き回るとは、まるでSFの世界だが、着実に現実になろうとしているようだ。