これまで「アメリカの株価暴落」「0金利の時代」「世界デフレへの突入」という“ドクターペンタゴン”若林栄四氏の最新経済予測を紹介してきたが、最も大事な国がまだ残っている。
そう、私たちが住んでいる日本だ。
2013年から本格化したアベノミクスの金融緩和と財政出動の2本の矢によって、デフレから脱却する兆しが見えたが、2014年4月の消費税引き上げによって失速気味だ。
しかし、若林氏は「日本はリフレとなり、株価もさらに上昇する」と断言する。
『異次元経済 金利0の世界』(集英社/刊)の第6章のテーマは「日本の復活」だ。
再びデフレに戻るのでは…そんな世論もある中、若林氏は、リーマン・ショック後の日本の長期金利最低水準は「偽りの日没」であり、長かったデフレの夜が終わる「本当の夜明け」と指摘する。
若林氏によれば、相場や経済は「波動」であり、その「波動」を黄金分割(著者が活用している相場の分析をするための方法)で分析すると、日柄調整は2011年末に完了していることになるという。
つまり、現在は上昇波動が流れており、デフレからリフレへの移行時期ともいえるのだ。
リフレは駅伝方式で進んでいくという。
第一走者は為替。現在は円安が進んでいるが、若林氏の予測によればそのピークは過ぎているという。本書であげられている理由の一つに、2014年12月5日と7日に日本経済新聞が1面に「円安」を持ってきたというものがある。経験則から日経新聞の1面トップが登場すると、相場が節目を迎えるシグナルと著者は読んでいるようだ。
そして、今その第一走者から第二走者にタスキを渡す中継所にきている。
待ち受けている走者は株価。ただし、ここで別チームのアメリカの転倒(株価暴落)に巻き込まれると若林氏は予測しており、世界全体も経済が悪くなる。ただ、2016年半ばまで我慢すれば、あとは好転するばかりだという。
そこから第三走者の実体経済のベースアップに移っていく。
つまり、2016年から日本経済がポジティブに変わるというのが著者の見方なのだ。そしてなんと、2030年には日経平均6万3000円が射程に入るとまで書きつづっている。この根拠についてはぜひ本書を読んで確認してほしい。
いかがだろうか。若林氏は日本の将来は大いに明るいと考えている。
あくまでこの本で書かれていることは若林氏の予測だが、時勢を見定める上で参考になるはずだ。
(新刊JP編集部)