園ママドラマ「マザー・ゲーム」初回レビュー ――「女って怖えー」だけで消費しないでほしい

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2015年04月21日 10:01  MAMApicks

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「4月クールのドラマ、何を見ようかな〜」と番宣やCMを日々チェックしていたところ、TBS系『マザー・ゲーム〜彼女たちの階級〜』(毎週火曜22:00〜)の予告編に「おっ!?」とセンサーが働いた。
http://www.tbs.co.jp/mothergame/

綺麗に着飾った幼稚園児のママが高級ブランドのバッグで殴りあうシーンに釘付け。ちょっとあざとすぎるだろう……と思ったもののこれは要チェック、と初回放送を観ることに。

木村文乃さん演じるシングルマザーの希子が役所の保育課で職員に詰め寄る場面からドラマは始まる――


子どもを保育園に預けたいのに、待機児童が多すぎて受け入れてもらえないという事態だ。

「待機児童対策ってずっと言ってるのに何で減らないの?」
「預けるところがなくちゃ誰も子どもを産まなくならないですか?」
「私みたいなシングルマザーはどうすればいいんですか?」

保活に奮闘した人なら誰でも共感できそうなセリフだ。しかし、希子の要求は飲んでもらえず肩を落としているところに、室井滋さん演じる「しずく幼稚園」の園長から、「うちの幼稚園に入らない?」と声をかけられる。

延長保育もある素朴な園です、との甘い言葉にホイホイとついて行ったら、そこは高級車で登園し、みな名門小学校に進学する富裕層の子どもたち向けの幼稚園だった、というのが導入である。

不動産王の娘、クリニックの院長夫人など、超ド級のお金持ちが集まるなか、ワーキングプアとも言える希子が、数ある「暗黙の了解」を破っていく、というのが今後の展開となりそうだ。


「ママカースト」というテーマでやはり思い出すドラマは、2011年に放送されたフジテレビ系『名前をなくした女神』だろう。健気で頑張り屋さんのヒロインに、敵とも味方ともつかない裕福なママたち。

そのママたちも何不自由ない暮らしに見えて、家では姑からのイビリに耐えていたり、夫婦関係のギクシャクが子どもにも影響していたり、分かりやすいドロドロっぷりもよく似ている。

さてこちらの「マザー・ゲーム」初回放送時にツイッターのタイムラインを眺めていると、頑張るヒロインを応援する声はほぼ皆無に近く、むしろ「空気読めなさすぎ」「考えが浅い」などと冷ややかな意見が多く見られた。

制作側が見せ場としたかったであろうブランドバッグでの殴り合いも、「セレブママ、怖い!」というリアクションはほとんどなく、筆者も「そんな奴おれへんやろ〜」と、大木こだま・ひびき師匠のトーンになってしまった。

そのほかにも、「入園する前に一度は幼稚園に見学行くだろう?」「持ち寄りランチにひじきの煮物なんて持って行かないだろう!」「シングルマザーだから役員できません、とかもうちょっと言い方が……」と、希子の考えや言動は何かと軽率で、突っ込みたいところだらけである。

かといってセレブママはあまりに住む世界が違うので共感も何もあったもんじゃないが、「毛皮のショール羽織って登園なんて肩凝りそうだなー」としか思えない(と言いつつ実際はちょっと羨ましい)。


筆者の住まいが都内でもとりわけのんびりした地域であることを差し引いても、リアリティに欠ける。それとも自分が知らないだけで、幼稚園というのは少なからずこんな世界なのだろうか? と言ってもママ友地獄がセンセーショナルになるには視聴者も免疫がつきすぎているし、ちょっと時代錯誤な感は今のところ否めない。

完全なファンタジー路線なのかな、と思いきや、母親たちはお互いを「○○さん」と名前で呼び合う。劇中でも園長先生が、「彼女たちも変わりたいと思ってるのよ」と言うように、これはたびたびネット上でも話題になる、「母親に対する『××ちゃんママ』という呼び方」問題に一石を投じているのだろうか?

先に挙げた『名前をなくした女神』というドラマのタイトルは、まさに子どもができたことで「××ちゃんママ」というのがつねになり、自分自身の名前を呼ばれることがなくなるということの比喩であったはずだ。

そこからほんの数年が経っただけだが、世間がイメージする「母親」や「子育て」が変わってきたってことなのだろうか? このふたつのドラマ、放送局も違うし、制作スタッフが被っているわけでもないのだが、対にして観てみると時代の変遷が感じ取れるかも……?


「マザー・ゲーム」に話を戻すと、第1回の時点では父親たちの存在がほとんど感じられない。まだ序盤なので、これから父親たちも話に参加してくるだろうかと考えているが、現時点で分かるのは、どの家庭も夫婦仲が円満な雰囲気ではないということだ。

主人公の希子は、父親は死んだのだと息子に話しているが、実は夫は生きているという設定。その他の家庭は、夫が愛人を作っていたり、姑からのモラハラに夫が対処してくれなかったり、どこかしらギスギスした空気を抱えている。

第2話以降で各家庭の事情がハッキリしてきそうだが、できればその夫婦間の軋轢とか悩みの根っこの部分に焦点を当てて欲しいなと思っている。


そもそも争うほどママ友がいない筆者なので、ママカーストの何たるかは分からない。「こんなんあらへんやろ〜」と言ったものの、実際はママ友との熾烈なバトルに苦しんでいる人もいて、その人にとっては物凄く共感できる悩みなのかもしれない。

だけど、母親たちが人間関係に悩んでいるのだとしたら、それは母親たちだけの問題ではないはずだ。母親がいるからには父親もいるし、祖父母だったり会社の同僚だったり、取り巻く人間がたくさんいる中で問題が起こるのだろう。その歪みが母親同士の関係にも影を落としているのではないだろうか。

今後の展開では陰湿な嫌がらせのオンパレードとか、ママカーストの番狂わせなどが予想されるが、決して「女って怖えー」と消費するだけにはしてほしくないのだ。

人が集まればトラブルも発生するし、恨まれたり足を引っ張られることもあるけど、女だけで、母親だけで問題を起こしているんじゃない。そこに目を向けた作りになるといいな〜と期待を込めて、第2話以降も見届ける予定でいる。ちなみに『TBSオンデマンド』では放送後7日間は見逃し配信で視聴可能。
http://tod.tbs.co.jp/

真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。

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