温室効果ガスの回収に粘土が威力を発揮しそうだ

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2015年04月22日 06:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

地球温暖化対策として温室効果ガスを排出しない自然エネルギーの活用が注目されているが、別のアプローチもある。そのひとつが二酸化炭素回収技術だ。つまり大気中の二酸化炭素や、工場などから排出する二酸化炭素を回収してしまおうというものである。

粘土が二酸化炭素を吸着する

その二酸化炭素回収技術に関して、新しい研究がノルウェー科学技術大学の研究者から発表された。粘土が二酸化炭素回収に威力を発揮しそうだというのである。

これまで開発されてきたほかの素材よりも、より多くの二酸化炭素を粘土が回収できることは明らかです

と、同大学のJon Otto Fossum教授はいう。これまで二酸化炭素の回収のために研究されてきたほかの材料は、粘土よりも高価で、製造が難しく、ものによっては有害であり環境負荷が大きいからだ。

二酸化炭素回収に向いている材料とは、広い表面積と高い吸着能力を持つことが要求される。また、ほかの分子と分けて二酸化炭素だけを吸着する必要があり、あまりエネルギーを使う必要がなく、再利用できるものが望ましい。もちろん、あまり高価でなく、環境に優しいものがいい。

吸着だけでなく放出もコントロールできる

粘土に含まれる鉱物で、水に触れると膨らむ層状ナノシリケートである『スメクタイト』は、二酸化炭素回収素材に要求される性質にマッチする。研究者たちは人工的に『スメクタイト』を合成して実験に使用した。これは低コストで製造できる。

そして、この『スメクタイト』が気体の二酸化炭素と結合することを発見した。しかも、『スメクタイト』粘土の表面そのものだけが二酸化炭素の結合に作用するのではなく、イオンが能動的に二酸化炭素を吸着することを突きとめた。

『リチウム-フルオロヘクトライト』と呼ばれるスメクタイト粘土は、35℃までの状態では二酸化炭素を保持するが、その限界を超えて熱せられると二酸化炭素を放出する性質を持つ。つまり二酸化炭素の回収、放出をコントロールできるのだ。

前出のFossum教授は、

私たちがいま行っているのは基礎研究の段階です。粘土を使った二酸化炭素回収技術は、まだすぐに実用化になるものではなく、まだまだ研究開発が必要です

といっている。とはいえ、このタイプの粘土が将来の効率のいい二酸化炭素回収システムの実現に有望であることはまちがいない。やがて人類は、温室効果ガスをコントロールし、地球温暖化を食い止めることができるようになっていくのだろうか。

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