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「親の年収が高い家庭に育つ子どもの学歴は総じて高い」といった内容で、教育格差の広がりを伝える報道を目にする機会が増えてきました。
原因についてさまざまな議論がなされているようですが、ひとつには「ゆとり教育」が実施されたことにより、公立学校と私立学校の教育レベルに違いが生まれたことが挙げられます。公立の授業内容に満足できない親が、子どもたちを塾やおけいこごとに通わせ私立を受験させる。当然ながら、学校外費用がかさむので、それを負担ができる家庭の子どもがレベルの高い学校に通う確率が上がり結果として高学歴となる。これが教育格差のシナリオのようです。
経済的な理由で進学を断念するなど、子どもの進路に差がついてしまうと就労機会にも差が出てくる可能性があります。高収入を得る仕事に就くことができず、次の世代にも「教育格差が連鎖する」といった問題も指摘されています。
学費を捻出できない家庭の子どもが利用できるサービスとして、奨学金という制度があります。文部科学省の調査では、奨学金を利用する学生、いわゆる「奨学金貸与人員」は年々増えている状況です。平成24年度の日本学生支援機構「学生生活調査」によれば、大学生の52.5%が奨学金を利用していると言われています。
私は、ファイナンシャルプランナーとして個人の資産形成コンサルティングに携わっていますが、20代・30代の人から、貯蓄よりも先に奨学金返済の相談をされることも珍しくありません。奨学金といえども借金であることに変わりはありません。無利子のものも、有利子のものも、ひとたび奨学金を利用した学生は「返済」という荷物を背負いながら社会に出ることになります。
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「学費は自分のキャリアを積むためのコスト」と考えることもできますが、やはり学ぶ機会を得るための支払いが、その後の生活設計の足かせになるような「国の在り方」には疑問を感じることもあります。
例えばアメリカでは、学生が企業から奨学金を受けることはよくあります。在学中の夏休みにアルバイトをして返済にあてることもありますし、企業のメリットとなるような研究成果を自分の専門分野から提供して学費を受けるというケースもあります。
最近の話題では、コーヒーチェーンのスターバックスがアメリカ国内の従業員の学費を全額負担するというプランを発表しました。2025年までに、従業員2万5000人以上の大学卒業を支援するとして、最大2億5000ドル(約299億円)を用意しているそうです。人材の呼び込みと長く働いてもらうための施策とのことですが、日本以上の経済格差が存在する国だからこそ、有名企業の取り組みにも注目が集まります。
急激に広がるわが国の教育格差への歯止めと競争力のある企業の取り組みとして、今後、日本にも影響があるのか動向を見守りたいものです。
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