わが家の床下にカビ、基礎断熱工法のメリット・デメリット

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2015年04月23日 19:00  JIJICO

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JIJICO

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基礎断熱工法を採用した住宅にカビの問題


爽やかな春が過ぎると、じめじめとした梅雨がやってきます。こういった季節には、カビに悩まされることが増えてきます。私の専門である建築設計の世界でも、こういった問題は見受けられます。特に、基礎断熱工法を用いた住まいで「床下にカビが発生する」といった苦情が寄せられています。


住宅に用いられる床断熱のおもな方法として、1階の床部分を断熱して気密性を確保した「床断熱工法」と、基礎部分を断熱して床下を室内と同じ条件にする「基礎断熱工法」があります。


床断熱工法は床下に外気を取り入れますが、基礎断熱工法は外気の取り入れ口(通気口)がなく、1階の床下が密閉されています。外気と遮断されることで基礎部分に適切な断熱が施され、1階に気密性のある床を張る必要がなくなります。それゆえ、1階の床下を有効に活用することができ、パッシブソーラーの蓄熱層や床下収納などを設けることができます。


閉鎖性の高く、床下空間の通気が不十分になる可能性も


基礎断熱工法で建築された住宅は、床下も室内と同じ条件になります。コンクリートで囲われているため密閉性が高く、快適な空間となり得ます。


では、なぜカビが生えてしまうのか?という疑問がわいてくると思います。それは、外気取り入れ口(通気口)がなく閉鎖性が高い床下空間は、室内からの通気や熱の伝わりが遅くなり、換気が不足した状態になると湿度が上昇しカビが好む環境になってしまうのです。


床下の湿気を防ぐ対策として
・床下に「換気ダクト」で持って、30㎥/h(1時間)程度の排気を行う。
・できるだけ、床下と室内を開放的にする。
・床下に炭を敷く。
・基礎のベースと外周部の立ち上りのコンクリートを同時に打設し、外部からの雨水の浸入を防止する。
・コンクリートの乾燥期間を十分確保し、コンクリートから放出される水分を少なくする。
・工事中に雨水が床下に溜まらないように注意する。
上記のような工夫を凝らす必要があります。


外気からの影響を緩和してくれるのが基礎断熱工法のメリット


床断熱工法では、1階床下は外気温に近いため、冬場に室温が20度、外気温が0度の場合、1階床下の温度は6度程度となりますが、基礎断熱工法では、1階床下の温度は室内温度と比較して1〜2度低くなる程度です。


夏場では床断熱工法では、1階床の温度は室温に近くなりますが、基礎断熱工法の場合、室内の熱を基礎ベースであるコンクリートが吸収することで涼しさを生みます。基礎ベースであるコンクリートは、室内の熱を吸収して24℃程度になり、その温度を秋から冬にかけて下げながら18度程度を保ち冬に入ります。その後、18度の巨大蓄熱体として冬の室温の安定に寄与するといわれています。


このように、基礎断熱工法が持つメリットを生かすために、床下を室内と捉え、必要以上に閉鎖的にならないように注意することが大切となります。



(高塚 哲治・一級建築士)

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