スーパーマーケットの冷蔵棚に新技術技術が採用!カギをにぎるのは「空中翼」

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2015年04月28日 07:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

長らくタイトルからは遠ざかっているものの、一定年齢以上のクルマ好きのかたであれば、ウィリアムズF1チームはご存じだろう。かつてはホンダエンジンを積んでナイジェル・マンセル氏やネルソン・ピケ氏を擁し、何度もシリーズチャンピオンを獲得した名門ファクトリーだ。

そのウィリアムズの技術が、スーパーマーケットの省エネのために活用されるという。

冷蔵庫の無駄を削減する技術

ウィリアムズにはF1で培った技術やノウハウを商業活用するためのウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングという部門がある。そのチームがイギリスのベンチャー企業エアロフォイル・エナジー社と協力して、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの冷蔵庫のエネルギー消費を低減させる空力デバイスを開発したのだ。

スーパーマーケットのランニングコストのなかでも電気代はけっこうな割合をしめるという。特にむきだしの状態で食品が陳列される冷蔵棚が消費する電力は大きな問題だ。通常はぴっちりと扉を閉める家庭用の冷蔵庫などとはちがって、冷気がつねに通路へ流れでしてしまうため、より消費電力が大きいのだ。

その状況を改善するために、エアロフォイル・エナジー社は、ウィリアムズと協力して、既存のオープン棚型冷蔵庫に装着できる“空中翼”を開発した。その空中翼を使うことで、冷蔵庫内の空気の流れをコントロールし、冷蔵棚の中をより低温に保つことができるというものだ。

この技術を使えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアにおける消費電力を減らすことができる。したがって温室効果ガス排出量も減らせるというものだ。あわせて、食品売り場の通路がむやみに寒くなることもなくなるので、買い物客も快適になる。

F1の空力技術を投入

この空中翼の開発に際して、ウィリアムズは40年にわたるF1のノウハウから得られた空気力学のノウハウを活用した。流体力学の計算にもとづいて設計し、シミュレーションを行ったうえで、オックスフォードシャーにあるファクトリーでテストを行った。

すでに一定の数のスーパーマーケットが、この空中翼テクノロジーの効果を検討していて、イギリスで2番目の規模のチェーンであるセインズベリー(Sainsbury’s)は、複数の店舗で試験的に導入している。セインズベリーは2020年までに温室効果ガスの排出をを30%削減する目標を立てているが、この空中翼テクノロジーは、そのために大きく貢献すると期待されている。

ガソリンを大量消費し、とにかく速さを競うことが美徳とされていた時代は過ぎ去り、現代の自動車レースは環境問題にも配慮しつつ速さを求めるといった、多分に矛盾する要素が求められている。

しかし、“効率の改善”という面でいえば、速さの追求も省エネルギーも目指す方向性は同じだ。こういった技術のフィードバックはレース好きにとっても、一般の買い物客にとっても、素直に大歓迎だといえるだろう。

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