(C)2009 志村貴子・太田出版/青い花製作委員会『青い花』は原作者・志村貴子の淡々とした作風をアニメの中に再現するとともに、舞台となる鎌倉の情景を美しく描き出し、同性愛という比較的重いテーマを扱いながらも爽やかな作品に仕上げられていました。原作の雰囲気を壊さずに、うまくオリジナル部分を挿入したカサヰケンイチ監督の手法は高い評価を得ています。
今回ご紹介する「奥平あきら」は、「万城目ふみ」と対をなす主人公の一人。「あーちゃん」と呼ばれ、誰からも好かれるかわいらしい女の子です。
【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】
■「お姉ちゃん」的な
あーちゃんは、ふみとは家族ぐるみのつきあいがある幼なじみです。面倒見の良いあーちゃんは、幼い頃は自分より背が低く泣き虫だったふみを、まるで姉のようにお世話してあげていました。
その後、ふみの家が引っ越して疎遠になりましたが、高校生になってからふみの家が再び鎌倉に戻ってきたことで10年ぶりに再開。幼い頃とは逆に、自分より大きく成長したふみに最初こそ気付かなかったものの、その後は頻繁に会うようになります。
高校生になり、外見はクールビューティーになっていたふみ。しかし、中身は相変わらずの泣き虫・・・。あーちゃんは自分のほうが背が低くなっても、10年前と同じように精神的な浮き沈みの激しいふみを、あたたかく包み込んであげるのでした。
■恋愛オンチ
あーちゃんはちょっと幼さを残しているような一面もあり、恋愛については特に疎いです。しかし、高校生ともなると周りには恋愛話が増えていきます。お嬢様学校へ通うあーちゃんのクラスには、許嫁がいる友だちがいたり、自分の兄のことをふみの友達が好きになったり、そしてふみが女性と交際していたり・・・。
ふみが女性と恋愛関係にあることにあーちゃんは嫌悪感を持ったりはしませんでした。しかしその反面、今ひとつそうした関係のことも理解できず、幼い頃のままのつもりでいたふみが、少し遠くに行ってしまったように感じてしまいます。それでもあーちゃんは、わからないながらも気持ちに折り合いをつけて、ふみの恋愛を応援することにするのです。
ただ、許嫁のいる友だち「井汲京子」が、ふみが交際している「杉本恭己」のことを好きだということを知り、初めて体験する複雑な人間関係の中で板挟みになり困惑するはめにも・・・。
その後、ふみが恭己に一方的に振られて泣いているのを見て、恭己に対して怒ったものの、恭己が自分の姉の恋人に横恋慕しながらも、2人の結婚にショックを受けたという話を聞かされ、怒りの矛先を失ってしまいます。結局、この時のあーちゃんには“恋愛”という人の心が深く関わる問題は難しすぎたのでしょう・・・。
■その後の二人
アニメ版では、あーちゃんがふみの初恋の人だった事を思い出したクリスマスイブの夜で終わりましたが、原作の物語は続きます。
その後、ふみに「性的な意味も込めて好きだ」と告白されたあーちゃんは、それまでの関係とあまりにかけはなれている事に少し怖くなってしまいます。しかし、「何もしないから友達でいてほしい」というふみの言葉を受け入れ、変わらぬ関係でいました。
再び告白を受けたあーちゃんは、自分からふみに「付きあおう」と言います。しかし、深まっていく関係とともに、自分の「好き」とふみの「好き」の違いが大きくなり、結局は別れてしまいました。やがて高校を卒業し、別々の進路を選んだ二人。数年後京子の結婚式で再開した二人は・・・。その先の結末が知りたいという方はぜひ原作をお読み下さい。決して後悔はさせません。
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★記者:玄Kuro(キャラペディア公式ライター)
(C)2009 志村貴子・太田出版/青い花製作委員会