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メガソーラーや住宅用のソーラーパネルで活用されている『結晶シリコン太陽電池』。誕生以来60年以上が経過しており、世界的に普及が進むなか、日本の研究者が新たに開発した新型太陽電池が世界の注目を集めている。
『ペロブスカイト太陽電池』と称する特殊な結晶構造を持つもので、現在主流のシリコン系に比べて格段に安く太陽電池を作れるという。
炭素などの有機物、鉛などの金属、ヨウ化物や塩化物といったハロゲン化物で構成する“有機無機ハイブリッド型”で、多少雑に作っても高い発電効率が得られるそうだ。
クルマに塗装できる太陽電池
シリコン系に必要な高温加熱や高真空プロセスが要らず、基板の上で多孔質の酸化チタンに溶液を塗布して乾かすだけで作製できる。
![OIST](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/04/OIST_1-690x450.jpg)
1平方メートル当たり150円程度の原材料を塗るだけで発電できるのが特徴。クルマのボディに塗装しても発電可能というから、バッテリーカーには朗報かもしれない。
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そもそも『ペロブスカイト太陽電池』は2009年に桐蔭横浜大学 宮坂力教授らのチームがペロブスカイト結晶の薄膜を発電部に使用、太陽電池として動作することを突き止めた。
当初は発電効率が低くそれほど注目されなかったものの、2012年に米科学誌『サイエンス』に“10.9%”の発電効率を実現したと発表したことから世界中で研究に火が付いたという。
その後、世界各国から高効率化したとの成果が次々と発表されるようになり、2014年にはシリコン系と比べてもヒケを取らない約20%の変換効率を達成している。
![OIST](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/04/OIST_2-690x376.jpg)
現時点では鉛フリー化の課題を残しているが、宮坂教授によれば年内にも実用化に向けた試作品が発表されるようだ。
シリコン系太陽電池の発電効率を上回る
今年に入り、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)の開発チームであるナノ材料科学環境拠点(GREEN)がペロブスカイト太陽電池の製造プロセスで製品バラつきの原因となる水分や酸素を排除することで、理想的な半導体特性を実現。
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また東京大学の瀬川浩司教授は壁や人が発する赤外光を吸収して発電する“色素増感型”太陽電池を『ペロブスカイト太陽電池』と組合わせることで、シリコン系を超える発電効率の高い太陽電池の開発に成功している。
こうした現状を踏まえ、宮坂教授は前述のEVなどのバッテリーカーへの応用や、室内光だけで作動するPCなどのIT機器が誕生する可能性があるとしている。
『ペロブスカイト太陽電池』は今や世界中が注目しており、日本発の画期的な発明だけに国家レベルで実用化を後押しすべき状況といえそうだ。