味方のはずの胃酸が牙をむく!?「胃食道逆流症」など酸関連疾患を知ろう

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2015年05月15日 12:10  QLife(キューライフ)

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その胸焼け、「胃食道逆流症」かも


兵庫医科大学 内科学 消化管科 主任教授 三輪洋人先生

 胃酸の分泌が過剰になることで起こる「酸関連疾患」。胃痛や不快感などがあらわれる胃潰瘍・十二指腸潰瘍や、いわゆる“えずき”や 胸焼けなどが起こる胃食道逆流症(GERD)がそれにあたります。この「酸関連疾患」の最新情報を紹介するメディアセミナーを武田薬品工業株式会社が開催。兵庫医科大学 内科学 消化管科 主任教授の三輪洋人先生が、治療の現状と今後の展望について講演しました。

 国内におけるGERD患者は近年増加傾向にあります。食生活の欧米化に加え、ヘリコバクター・ピロリの感染率の減少などが原因として挙げられます。「ピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんなど多くの疾患に関与することがわかっており、2013年には、ピロリ感染胃炎に対する除菌治療が保険で認められました。ピロリ菌感染者は、ピロリ菌によって胃酸が中和されるため、胃酸の総量が減少します。感染率が減少すると、胃酸の総量が多い人が増え、それにより酸関連疾患の患者さんも増える傾向があります。いまでは健診受診者の約15%に、食道の粘膜にただれがある逆流性食道炎がみつかっています」 (三輪先生)


新たな選択肢が登場し、治療の幅もひろがった

 酸関連疾患は、文字通り「胃酸」の分泌が過剰になり、食道などに逆流することで起こる病気なので、それに対する治療はいかにして「逆流を止めるか」もしくは「胃酸の分泌を抑えるか」の2点に集約されます。このような酸関連疾患の第一選択薬として、これまで、20年以上にわたり使われてきたのが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)と呼ばれるお薬です。これは、胃粘膜の細胞の酵素に働きかけ、胃酸の分泌を抑制するお薬ですが、効果が出るまで数日かかってしまったり、患者さんごとに良く効く場合とそれほど効果を感じない場合もあったりするなどの点が懸念されてきました。

 そうしたなか、2015年に登場したカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれるお薬は、従来と同じプロトンポンプ阻害剤(PPI)でありながら、その作用メカニズムは異なっており、早く胃酸の分泌を抑制できることに加え、患者さんごとの効果のバラつきも少ないことが分かりました。

 「これまでは酸関連疾患というと、消化性潰瘍や胃炎が中心でしたが、近年では胃食道逆流症(GERD)や逆流性食道炎の患者さんが急激に増加しています。これまでよく使われているPPIと今回登場した新しいPPIを上手に組み合わせる必要があります」と三輪先生。酸関連疾患は慢性疾患のため、何もしないと半年以内に8〜9割の人が再発してしまいます。最後に三輪先生は「暴飲暴食や早食い、脂っこい食事は控え、適度な運動とストレスの軽減、生活リズムの改善が大切です」と提言しました(QLife編集部)

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