世界初!藻類を利用した「バイオデジタル」キャノピーがエコ建築の新時代を築く

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2015年05月19日 06:30  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

イタリア・ミラノで開催中のEXPO Milano2015(ミラノ国際博覧会)に、なにやら変形したキューブ状の建物。三角形の壁や天井部分にはグリーンの水が通る透明の水路が幾つもあり、とっても涼しげ。博覧会会場のメイン通り交差点辺りで見ることができるのだが、これなんなのでしょう?答えは“キャノピー”、要は庇(ひさし)だ。

だが、ただの庇ではない。名前は『Urban Algae Canopy』。Algae=藻類の生態をデジタルで制御する最新システムにより都市をエコにするという、とっても志が高い庇なのだ。

太陽光で繁殖する藻類の生態を利用

実物大のプロトタイプであるこのキャノピー、製作はイギリス・ロンドンを拠点とする建築系デザイン会社、ecoLogicStudio。目的は、“エコな都市建築物の新ビジョンを提案する”ことだ。

urban algae canopy04

ポイントは、前述の壁や天井部分。材質は、ETFE(フッ素樹脂)を皮膜加工したもので、3層構造などで高い透明度と耐久性を実現。中には、極小の藻類が入った水溶媒が通る水路がいくつもある。

藻類は、ご存じの通り、太陽の光で光合成をして育つ。なので、例えば太陽が昇りキャノピーに日光が差すと、藻類が光合成をして繁殖するため水溶媒は一気にグリーンになる。これにより、キャノピー内がシェード(日陰)となり、中にいる人はとっても快適に。藻類の生態をうまく活用できるのだ。

Diagram_hitechandrea

人の動きで水中の藻類の量も管理

極小の藻類が入った水溶媒が壁や天井に流れる量は、デジタル技術との組み合わせでコントロールが可能だ。 キャノピーに人が近づいてくると、センサーが感知して電子バルブが作動し、キャノピー内へより多くの水溶媒を流し込むようになっている。これにより、人が増えれば増えるほど壁や天井を流れる藻類の量が増え、キャノピー内はより日差しをカットできることになる。


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藻類を使うメリットは他にもある。光合成時に酸素をだすからだ。このキャノピーは、森林地帯4ヘクタールで生産されるものと同量の酸素を生成。バイオマス(生物の量)を一日当たり150kg、自然野菜のタンパク質量を60%増加させることが可能だという。

自然の生態とデジタルを統合させた“バイオデジタル”という考え方は、いいことずくし。これからの都市建造物にとって、重要なキーワードのひとつになりそうだ。

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