ノルウェー「フレアリング(燃焼処理)」を2030年までに廃止目指す

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2015年05月22日 06:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

油田の焼却塔から放出される“炎”は産油国を象徴するアイテムとして定着した感がある。この“炎”は、原油に随伴して噴出するガスや原油の処理過程で発生するガスを焼却処理しているもので『ガスフレアリング』と呼ばれている。

油田では、これまで随伴ガス回収用のパイプラインや回収施設を建設するよりも焼却した方が安上がりなため、大気に放出してきた経緯がある。

「ガスフレアリング」が大気汚染を助長

しかし、ガスを放出することにより、天然ガス資源を浪費するばかりでなく、環境に悪影響を与える亜硫酸ガスや地球温暖化をもたらす二酸化炭素を大量に大気放散することになる。

『ガスフレアリング』による世界の年間CO2排出量は3億6,000万トンと実に自動車7,000万台分の排出量に相当するという。


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1990年代に入るとCO2排出に伴う地球温暖化の進行が懸念されるようになり、石油関連会社はこぞって『ガスフレアリング』の削減対策に乗りだすようになった。

発生ガスを回収して地下の油層に圧入するなど、原油の回収率増大に繋げるようにしたことで、排出量で最多だったロシアでは2007‐2011年の間に28%削減、2位のナイジェリアをはじめとする大半の国で減少に転じている。

産油国ノルウェーが大気放出全廃に賛同

そうしたなか、産油国ノルウェーではブルゲ・ブレンデ外務大臣が2030年までに『ガスフレアリング』廃止を目指す世界銀行等の取り組みを支持、これに800万ノルウェークローネ(約1.3億円)を提供すると発表した。

『ガスフレアリング』が北極圏のブラックカーボンの40%を生みだしており、その影響で氷面が黒ずみ、融氷が速く進むとの研究結果が示されたことを受けて、現在同国では『ガスフレアリング』を禁止している。

この取り組みにはこれまでに政府、石油会社、開発機関など24機関が参加しているが、産油国ではノルウェーが初の参加国となる。フレアリングで排出されているガスを活用すれば、アフリカ大陸全体の年間消費量を上回る電力が供給できるそうだ。

かくして、これまで産油国の象徴だった“炎”、『ガスフレアリング』は全世界から消え去ろうとしている。

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