環境発電に応用?リコーが利点だけを両立した「発電ゴム」を開発

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2015年06月01日 06:10  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

将来的な資源利用やエネルギー問題がグローバルに取り上げられるなか、身の回りのレベルにある1つの選択肢として注目を浴びている環境発電(エネルギーハーベスティング)。太陽光や熱、風、運動エネルギー、あるいは淡水と海水の塩分濃度の差といったエネルギーから電力を引きだし、主に小規模なデバイスを通じて活用する技術だ。

このほど、株式会社リコーは圧力や振動により高い発電性能を発揮する、新しい柔軟材料“発電ゴム”の開発に成功した。

従来材料の利点である“高出力”と“柔軟性”を良いとこどり

従来、圧力による発電に使われる材料(圧電材料)としては、セラミックスや高分子樹脂などが活用されてきたという。どちらも利点を持った材料だが、セラミックスは比較的多くの電力が取りだせる代わりに壊れやすく重い、高分子樹脂は柔軟性はあるが取りだせる電力が微量、といった課題があった。

今回リコーが開発した“発電ゴム”はこれらの問題を解決し、それぞれの利点である“高出力”と“柔軟性”を実現。形状は柔軟性の高いシート状の形をとりながら、セラミックスと同等レベルの発電性能を有する新規材料なのだ。

高い生産性を持ち、多方面への応用にも期待

代表的な圧電材料であるセラミックスは、機器設備の圧力・振動センサーなどの電子部品として普及しているが、前述の通り、壊れやすさや重量に難点を持っていた。これに対し、今回開発された“発電ゴム”は、数百万回の負荷試験で十分な耐久性が証明されているという。

いっぽう、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子樹脂は、柔軟性と引き換えに電力が微量という課題がある。この点でも“発電ゴム”は、セラミックス並みの発電性能を持ちながら柔軟性の面で高分子樹脂を上回り、加えて反応感度と圧力への耐久性も問題ないとのことだ。

また“発電ゴム”は、加工がしやすいため、高い生産性も望める。設置場所の制約が少なく広い面積での利用も可能なので、従来の材料に比べ多方面への応用が期待されている。

現在、リコーでは東京理科大学と共同で、最先端の計算化学技術を用いた分子レベルで、従来の圧電材料とは異なる発電機構の解析を始めている。今後は材料の可能性をさらに拡げ、将来の応用展開を目指すということだ。“発電ゴム”が安価に実用化され、近い将来、IoT(Internet of Things)社会で有効な発電材料として幅広く活躍する日はそう遠くないのではないだろうか。

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