薄曇りの午後3時。紅茶を飲みながら、T・S・エリオットを部屋でひとり読んでいるときにオススメなのは、ラニ・ホールの5枚目のソロアルバム「Blush」。通っているカルチャー・スクールの英語の先生と不倫に走る、よろめき主婦の午後には、ロッキー・ロビンスの「You And Me」。さらにメイキング・ラヴ5分後辺りにオススメなのは、グレッグ・ギドゥリーの「Over The Line」。
「ロビー・デュプリーに曲を書いたりしている彼が、82年に出したアルバムOver The Lineは、昼下がりのベッド・ルーム用。少しだけ開けた窓から入る微風に揺れるレースのカーテンを見ながら、彼女に肘枕をしてあげていると、『あーあ、また、こうなってしまった』と思っている感傷少年の今の気持を、まさしく歌ってる風のメロディーが、お部屋に充満しちゃいます。(中略)ところで、なぜ五分後からグレッグ・ギドゥリーなのか、わかります? だって、やっぱり、五分間くらいは、彼女に優しくしてあげないと、まずいでしょ、そう思いません?」(本書より)