インスリンを使用する糖尿病患者さんの約半数が低血糖の経験あり

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2015年06月01日 12:10  QLife(キューライフ)

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43.9%の患者さんが「低血糖が起きたことを医師に必ずしも話さない」

横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学教授 寺内康夫先生

 糖尿病治療における、早期のインスリン導入は合併症の進展を抑制させるだけでなく、膵臓の機能を保持し、糖尿病の進行を遅らせる可能性が示唆されています。しかし、インスリンの主な作用である血糖低下作用は、時として“効きすぎ”による低血糖につながる場合があります。日中の低血糖は転倒や交通事故などのリスクが、夜間の低血糖は気分の落ち込みや寝不足によるQOLの低下の懸念があります。

 そこで、サノフィ株式会社はインスリンを使用する糖尿病患者さん707名を対象に、“治療と日常生活”についての調査を実施。その結果を発表するプレスセミナーを開催しました。

 調査を監修した医師の1人である、横浜市立大学教授の寺内康夫先生は「半数近い患者さんが低血糖を経験していますが、経験者の43.9%が低血糖の発症について“必ずしも医師に話さない”と回答しており、実際にはより多くの低血糖経験者がいると推測されます」と警鐘を鳴らします。

低血糖を予防するための「補食」が逆にストレス源に

 インスリン治療を行う患者さんの多くは、低血糖の発症時や予防のために、何かを飲んだり食べたりする「補食」をしていますが、補食経験のある患者さんの47.2%が「ストレスを感じる」、53.5%が、補食が「体重増加にも影響する」と回答。低血糖を予防するための行為が逆に患者さんのQOLを低下させる可能性があることが分かりました。

 「予防としての過剰な補食は多くみられます。積極的に血糖値をコントロールしようとするほど、低血糖のリスクが高まってしまうことがインスリン治療の難しいところです。今回の調査でも、リスク回避のために、患者さんが自己判断でインスリン注射を減量したり中断したりするケースがあることが分かりました」(寺内先生)

 近年、糖尿病治療において、「インスリン治療のドロップアウトサイクル」が問題視されています。これは、「インスリン療法自体や食事・運動療法が引き起こす低血糖」→「インスリン用量の減量」→「血糖コントロールの目標未達成」→「治療の中断や他の治療法への移行」→「目標達成せず、再度インスリン療法に」と、治療開始とドロップアウトを繰り返す悪循環のこと。

 「これからのインスリン治療には、その効果や安全性はもちろん、患者さんのQOLやアドヒアランスの向上も不可欠です。そのためには患者さんの治療と日常生活の調和を図る“インスリン-ライフ・バランス”の視点が欠かせないと思います」(寺内先生)

(QLife編集部)

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