大企業とは異なる、中小企業の採用における「介在価値」の役割

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2015年06月01日 19:01  JIJICO

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第三者の介在で質とスピードを高め、コストが抑えられる


人事における「介在価値」という言葉を、最近耳にするようになりました。本来であれば会社と人の間で行われる募集・応募・採用の流れを、第三者が介在することによって、質とスピードを高め、コストを抑えることを指します。一見すれば、大企業が優秀な人材を採用するためのものに感じますが、今回は「草の根」の「介在価値」について考えてみます。


一昨年、知り合いの会社に、定時制に通う高校生を紹介しました。従業員数名の会社では、いくらハローワークに求人票を出し、給料などの条件を引き上げても、なかなか応募はありません。一方で、定時制の高校は、生徒の就職先を探すのにとても苦労しています。


実体験から語る中小企業の介在価値とは


学校に来る求人票が少ない上、生徒の就職に対する意識が低く、どちらかと言えば学校が就職先を探してくれることを当てにしています。何気なく知り合いの会社のことを高校の教職員に話したところ、ぜひ働いてみたいという生徒が現れました。生徒も会社の経営者を気に入り、無事に就職しました。


そして、今年は自動車整備の会社に工業の定時制高校の生徒を紹介しました。こちらは現在卒業後の就職を前提に、インターンとしてアルバイトをしながら高校に通っています。ただし、高校生の就職には必ず高校を通さなければいけないという規制があるため、いずれもボランティアです。


また、3年前から定時制高校で非常勤の仕事もしています。何らかの事情があって夜の高校で学ぶ生徒たちが、卒業してからしっかり生きていけるように、何とか正社員として就職できないかと考えていました。一方で、付き合いのある中小企業の経営者には、そんな生徒たちを安心して任せられる人がたくさんいます。私が一言口を挟むことによって両者を引き合わせ、採用が成功すれば、まさに「介在価値」といえるでしょう。


日本の土台を支える中小企業の採用はまだまだ人海戦術


中小企業での採用は、まだまだハローワークの求人票を通じての採用が一般的です。大企業のように、莫大な費用をかけて採用広告を出したり、求人サイトを利用したりということはできません。ハローワークや直接、学校にアプローチするという人海戦術なのです。


日本を牽引する大企業が優秀な人材を採用することに貢献する「介在価値」も大切です。しかし、土台を支える中小企業で、未来のある若者が、新しい可能性にチャレンジする場を提供することも「介在価値」といえるのではないでしょうか。



(小倉 越子・社会保険労務士)

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