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技術革新があれば形は変わる。かつてスポーツカーは、“リトラクタブルヘッドライト”という出たり入ったりするヘッドライトを採用している車種が多かったが、現在ではなくなった。配光の技術が進歩して、ライト形状の自由度が高くなったという背景がそこにはある。
今回紹介する照明の技術は、さらに進歩している。曲面にプリントすることもできるエレクトロルミネッセンス(EL)だ。カールスルーエ工科大学(KIT)がウェブサイトで紹介している。
照明をプリントできる
世の中に少しずつ採用されてきているELは、薄いシート上のものを発光させることができ、しかもあるていど曲げることができる柔軟性を持っている。このKITがFranz Binder社と協力して開発した技術は、そのELをさまざまなものの表面にプリントすることができるというものだ。
![Print_EL02](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/06/Print_EL02-690x388.jpg)
従来のELでは、発光物質は2つのプラスティックの電子輸送層と正孔輸送層に挟まれるかたちで形成されていた。しかし、このELプリント技術においては、発光層はほかの層によって挟む必要はなく、対象物表面に直接プリントすることができる。
紙やプラスティックの表面、さらには立体的な造形物の表面に印刷することも可能だ。
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柔軟なラバーパッドで印刷する
このELは、画期的なパッド印刷技術によって可能になった。動画を見るとわかるが、柔軟性があるラバーパッドを備えたパッド印刷機は、簡単に形を変えることができるため、曲面へのコーティングに適しているのだ。
エンジニアのElodie Chardin氏は、「この方法を使えば、球体への均質なコーティングも低コストで可能になります。」という。
コーティングの厚みは約10分の1mm。工程はシンプルなので必要となる材料も少なく済むという。またさまざまな発光物質を使うことで、さまざまな色が実現できる。
この技術は、停電時の建物内の安全性を高めるための設備に活用できるほか、部屋のインテリアに新しいデザインを導入することも可能になると考えられている。
蛍光灯や電球などを使った照明はあるていど奥行きが必要だった。LEDをつかえば、かなり薄くできる。ELを使えばさらにペラペラになる。そしてこのプリントELを使えば、立体造形の表面を光らせることができるようになる。
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未来の照明やディスプレイの形状は現代とはまったくちがうものになっていくのかもしれない。