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「障害」か「障がい」か。「障害者」か、それとも「障がい者」か。千葉市の熊谷俊人市長がTwitterで投稿した発言を受け、「しょうがい」をどのように表記すべきかという問題が、にわかに話題となっているようです。
熊谷市長は当初、次のような趣旨の投稿をしています。障害者とは、「社会との関わりの中で障害に直面している者」という意味である。「障害」という言葉が引っかかるからこそ、その障害を解消していくことが求められている。「障害」を「障がい」と置き換えることはその解消に資するものではなく、表記をソフトにすることには意味がない。
あえて「漢字表記にするべき」との立場は、どのような考えがもとになっているのでしょうか。それは、「障害」の意味をどう捉えるかに関係しています。
今回の場合、障害という言葉を身体障害、精神障害といった個人の側にあるハンディキャップと捉えるのではなく、社会の側に原因があり、社会そのものが抱えている障壁や弊害という意味で捉えています。
先にも挙げたように、熊谷市長は「障害という言葉が引っかかる」という表現をしていますが、この「引っかかり」とは、社会の側に存在する障壁・弊害に対する「問題意識」と解釈できます。漢字で表記することは、効果があるかどうかは別として、克服すべき社会が抱える障害に対し、人々が問題意識を強く持ち続けることを意図していると言えるでしょう。
一方で、各自治体をはじめとして「害」の字を漢字からひらがな表記へ見直す社会的な流れが見られます。そもそも「障がい者」という言葉は、「人」に対して使われる言葉です。人を表す言葉に「害」という字を用いることに抵抗を感じるのは、ごく自然のことであるように思われます。
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これについては、表記を変えるだけでは何の意味も無いといった否定的な意見も聞かれますが、「害」という字に不快感を抱く当事者やその家族がわずかでも存在するのであれば、ひらがな表記への流れを止める必要もないでしょう。
漢字表記、ひらがな表記双方の立場で、それぞれに考えや意図するものはありますが、どちらが良いとも悪いとも言い難く、またそれを判断する高い必要性もないように思われます。障がい者とその家族にとって、また障がい者の支援に携わる人々にとっては、この表記の問題は極めて優先順位の低い問題であるからです。最も大きな問題は、障害や障がい者に対する無理解や誤った認識、そして「見て見ぬふり」をすることでしょう。
障がい者の雇用と就労、障がい者に対する差別や虐待、障がい児の保育や進路の問題など課題は山積しています。どう表記するかという議論ではなく、社会が抱える課題に対して具体的にどう行動し、何を成し遂げていくかということを、私たちは問われているのです。
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