関節リウマチの最新治療!“医師が後ろのドアから逃げ出す時代”から寛解を目指す時代へ

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2015年06月12日 12:00  QLife(キューライフ)

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シムジア、関節リウマチに対する適応追加

北海道大学大学院 医学研究科免疫・代謝内科学分野教授 渥美達也先生

 2003年に生物学的製剤の使用が開始されて以降、さまざまな薬が登場し、関節リウマチ(RA)は治らない病気から寛解を目指す病気になりました。国内7剤目の生物学的製剤として承認された「シムジア」(一般名:セルトリズマブ・ペゴル)は、原則既存治療で効果が不十分な関節リウマチに限定されていましたが、抗リウマチ薬による治療履歴がない場合でも関節の構造的損傷の進展リスクが高いと推測される患者さんに対する投与が可能になりました。

 今回の適応追加に伴い、アステラス製薬株式会社とユーシービージャパン株式会社は、6月3日にプレスセミナーを開催。北海道大学大学院 医学研究科免疫・代謝内科学分野教授の渥美達也先生を招き、「早期関節リウマチ治療の展望」と題した講演が行われました。

早期関節リウマチの新たな薬物治療と展望

 メトトレキサート(MTX)未治療で、予後不良因子のある早期RA患者さんを対象とした臨床試験(C-OPERA試験)の追加解析結果と2つの国内臨床試験の結果が、4月に名古屋で行われた日本リウマチ学会総会で発表されました。セルトリズマブ・ペゴルの4年間にわたる長期有効性と安全性に関しての報告です。有効性に関しては、最大限MTXを使用しても29.3%の患者さんに骨関節破壊の進行がみられたのに対し、セルトリズマブ・ペゴルを併用した場合、17.1%と有意に減少しました。寛解達成率に関してもMTX単独群よりも高い達成率を示しています。一方、安全性に関しては、重篤な有害事象はMTX単独群が8.2%、併用群が8.9%みられ、とりわけ重篤な副作用が増えた印象はなかったといいます。

 「関節破壊の進行が予想される関節リウマチに対して、早期からMTXとセルトリズマブ・ペゴルを併用すると、関節破壊の抑制に有用だと考えられ、きわめて高い確率で寛解誘導が可能でしょう。しかしたとえ早期であっても、関節リウマチに対する同治療の導入は、重篤な感染症対策を含めた安全性の確保は従来通り必要です」と渥美先生はいいます。

 20世紀初頭、ウイリアム・オスラー博士が「関節リウマチの患者さんが診察室の前のドアから入ってきたら、医師は後ろのドアから逃げ出す」といった時代から21世紀になり、寛解から完治も夢ではない時代になってきています。今後のさらなる治療法の開発が期待されます。(QLife編集部)

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