動物は脚部に何らかの要因でダメージを負った場合、損傷部をかばいながら歩行することが出来る。
自律歩行ロボットの開発を手掛けるフランス『Inria(インリア)』の研究チームが開発したロボットもそうした動物と同じような行動がとれるという。
自ら考えてダメージに対応
J Mouret研究員らが開発したロボットが先頃、イギリスの著名科学誌『Nature』に取り上げられた。
同研究チームは脚部を損傷したロボットがその能力を迅速に取り戻して課題を実行できるようにすべく学習アルゴリズムを開発。
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脚部に損傷を受けると自ら試行錯誤を繰り返し、良い成績を挙げられる可能性に基づいて行動を試みるように設計されている。
いわゆる“自己修復”は生物にとって重要な機能の一つだが、自律歩行ロボットの場合でも宇宙や深海のように遠く離れた環境や、福島原発のように他に頼るものがない厳しい環境においては、非常に重要な機能となる。
まるで本物の生き物のよう
従来の二足歩行ロボットの場合、損傷を受けた時点で歩行が不可能となるが、このロボットは短時間で新たな歩行方法をあみ出して歩行を継続できるのだ。
映像では6足歩行ロボットが1脚に損傷を受けた際に、最初は歩行に支障をきたして戸惑うものの、その約40秒後には“ホッピング”が最も適した移動方法と自ら判断、受傷前に近い速度で移動する様子が映し出されている。
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予め13,000通りの歩行パターンがライブラリされており、その中から損傷後に最適な歩行スタイルをロボット自身が見つけ出して対処したという訳だ。
このロボット、さながら生き物のようで、その動きには少々気味悪さを感じるほど。
研究者達は「この技術により全てのロボットが恩恵を受けることになるだろう」としている。
生物に倣ったAI(人工知能)を備えるロボットはやがて本物を超える能力を身に付けるようになり、人間のパートナーとして貢献する存在になって行くのかもしれない。