ルーマニアのハイテク企業が視覚障害者のための「スマート公共交通機関プロジェクト」を推進

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2015年06月16日 09:40  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

ルーマニアのハイテク企業であるOnyx Beacon社は、ブカレストの地方自治体と提携してSPT(Smart Public Transport:スマート公共交通機関)を進めている。

具体的には、500台の『iBeacon』デバイスを都市内で運行しているバスに設置しようということだ。

この試みは、市民の内12,000人ほど居ると推定される視覚障害者が、より安全に公共の交通機関を利用できることを目指している。

視覚障害者にとっては、バスを利用することには困難が伴うからだ。

それをOnyx Beacon社は500台のバスに『iBeacon』を設置することで、都市のバスネットワークを視覚障害者が利用する際の困難さを緩和しようとしている。

しかも、そのシステムは無料で利用できるようになる。

 

視覚障害者が安全にバスを利用するために

SPTでは、バスに乗るために視覚障害者が友人や居合わせた旅行者、あるいは交通機関の職員に頼らなければならない、という状態から開放しようとしている。

乗りたいバスがバス停に到着すると、Bluetoothを経由して、『iBeacon』から視覚障害者のスマートフォンに信号が送られる。

バスにBeaconを設置

すると、スマートフォンにインストールされたアプリがバスの到着と、何処行きのバスが到着したのかということを視覚障害者に知らせてくれる。

バスのルートや個別の情報についてはOnyx Beacon社のクラウドで管理されている。

乗るべきバスが待っている人の50〜60メートル内に近付くと、スマートフォンはバスが近付いたことを音声で知らせて、『iBeacon』自体もビープ音を鳴らして視覚障害者に位置を知らせ、バスを探すことを手助けするのだ。

この方式なら、複数のバス停があったり、同時に複数台のバスが到着しても、視覚障害者がどのバスに乗ればよいか分かりやすい。

 

『iBeacon』で視覚障害者をサポートする試み

SPTを実現するために、Onyx Beacon社が提携しているのは、タンデム協会(ブカレストの視覚障害者を代表する団体)、RATB(ブカレストの公共交通機関)、ボーダフォン・ルーマニア財団だ。

そして対象となるバスは、ルーマニアの首都の主な公共の場をほぼカバーできているという。

アプリケーションは都市の全域のルートを導くことができるため、時刻表やルートガイドをつぶさに調べる必要はない。つまり、スマートフォンだけで完結できる。

この試みは、Onyx Beacon社にとっても、視覚障害者を助ける世界で初めての規模となるソリューションだと位置付けている。

視覚障害者のバス利用を安全に

1月から始まった開発の第一段階は、8月まで続く予定だ。そして年内の残りの期間で、さらなるチューンナップが行われる予定だ。

特に今回使用される『iBeacon』は、長期間の使用に耐えられるように作られており、4年に一度交換すれば良いというメンテナンスコストが低く抑えられている。

ブカレストでの試みが成果を出せれば、『iBeacon』を利用した視覚障害者をサポートする仕組みは世界に広まるであろう。

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