日本神経学会ランチョンセミナー〜アミロイドニューロパチー診断のポイントとは

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2015年06月16日 18:10  QLife(キューライフ)

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第56回日本神経学会学術大会が新潟で開催

ホテル日航新潟30階鳳凰で行われたランチョンセミナー「アミロイドニューロパチー診断のポイント〜臨床所見と検査の実際〜」に多くの人が集まった

 神経内科は、高齢化が進む日本で増加している認知症をはじめ、脳血管障害、てんかん、頭痛、めまいなど脳神経系の疾患を対象としています。さらにパーキンソン病や多発性硬化症などの難治性疾患に対して専門的な診断や治療を行います。急激に高齢化している日本で幅広い領域をカバーする神経系疾患の学術大会が、5月20〜23日に新潟で開催されました。

 神経系疾患の中でも難治性で希少な疾患の1つにトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR−FAP)があります。トランスサイレチンというたんぱく質の遺伝子変異により、異常な形のたんぱく質の塊であるアミロイドが、末梢神経や心臓、腎臓、消化器、眼などに沈着し、さまざまな障害を起こす遺伝性の希少疾患です。現在全国に150人程度の患者さんがいます。初期症状は、手足のしびれ、立ちくらみ、男性ではインポテンツなど発症は緩やかですが、徐々に悪化し、手足から腕へと進行し、未治療だと平均10〜15年の生存期間だといわれています。

一般神経内科医へ向け、アミロイドニューロパチーの臨床所見と検査の実際を解説

 アミロイドニューロパチーに関するランチョンセミナーが5月20日、ファイザー株式会社の共催により行われました。座長は、鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科神経病学講座 神経内科・老年病学分野教授の高嶋博先生、演者は、信州大学医学部脳神経内科、リウマチ・膠原病内科准教授の関島良樹先生による「アミロイドニューロパチー診断のポイント〜臨床所見と検査の実際〜」と題したセミナーです。

 セミナーでは、熊本県と長野県の集積地の患者さんと全国で散らばる孤発家系の患者さんの発症年齢の違いや男女比、症状の違いなどの比較から、診断に必要なポイント、必要な検査や治療法までを解説。セミナーに集まった医師に向け、一般神経内科医が遭遇する可能性が高いATTR−FAPの臨床症状や検査への注意点などにも触れ、注目を集めていました。

 診断の確定には、さまざまな臨床症状の存在や組織検査によるアミロイド沈着の証明、TTR遺伝子変異の証明が必要です。しかし遺伝性の難病のため、患者さん本人だけでなく家族へも十分な配慮が必要なことを、日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」を引用し説明されていました。(QLife編集部)

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