家電量販店での会話を「秘密録音」 ブログで「録音データ」を公開したら問題になる?

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2015年06月18日 11:11  弁護士ドットコム

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テレビでよくある「潜入取材」のレポートを自分のブログでも掲載したい。そう考えた男性が「飲食店や家電量販店での録音をネットなどにアップロードした場合、犯罪になるのでしょうか」と、弁護士ドットコムの法律相談コーナーで質問している。


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男性は、実態をありのままに伝えるために、店員との会話などの「録音データ」を自分のブログにアップロードしたいと考えている。おおげさな撮影機材は使わず、一般的なICレコーダーを使う予定だ。「盗聴禁止」と明示されている場所では録音しないなど、店側への配慮もするつもりだという。



それでも、無断で録音した内容を個人のブログに掲載するのは、何か法律に触れてしまうのだろうか。福本洋一弁護士に聞いた。



●プライバシー侵害や信用毀損の可能性


「まず、第三者による『盗聴』の場合と区別して、会話の当事者が相手方に無断で会話を録音することを『秘密録音』と言います。



一般的に、会話は、相手がその内容を他に漏らすこともあるという前提で話をすることが多いので、『秘密録音』においては、話している人が秘密性ないしプライバシーを放棄しているとも考えられます。



しかし、会話が機械により正確に録音され、ネットに公開される可能性があることを知っていたらどうでしょう。相手が録音を拒否することが当然予想されるのに、拒否の機会を与えずに無断で録音することは、『プライバシー侵害』となりえます。この場合には、不法行為責任を負うおそれがあります。



また、わざと相手に意図した発言をさせるために、挑発するような手段を用いる場合は、より侵害のおそれが高まります」



会話を無断でネット公開することについてはどうだろう。



「仮に録音行為が適法だとしても、音声データの無断公開は、公開行為自体が名誉・信用毀損やプライバシー侵害となるおそれがあります。



たとえば、『あなただけ、特別に割引しておきますね』というような会話には、特定の顧客に限定した情報提供だという留保があるといえます。その会話をネットに公開することは、その店の信用毀損となるおそれがあります。



公開する会話内容については、事実の公共性や目的の公益性等の観点からみて正当化されるような内容であるか、慎重に検討することが重要でしょう」



福本弁護士はこのように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
福本 洋一(ふくもと・よういち)弁護士
弁護士法人第一法律事務所パートナー弁護士、システム監査技術者。2002年同志社大学大学院修了、03年弁護士登録。IT関連・情報セキュリティ、企業秘密・個人情報・マイナンバー等の情報管理・漏洩対応等を取り扱っている。
事務所名:弁護士法人第一法律事務所
事務所URL:http://www.daiichi-law.jp/


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