「世界最薄」電球の作成にグラフェンがカギを握る

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2015年06月20日 08:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

LEDによる照明があっという間に普及したが、既に次なる発光体が登場している。

グラフェンという物質がある。炭素繊維が平面上に結合した物質で、厚みは炭素原子一つ分だ。

このグラフェンは導電性が高く物理的な強度もあることから、センサーや電池、あるいは新たな繊維などあらゆる分野での応用が期待されている。

そのため、2004年にグラフェンを取り出すことが成功すると、その研究者であるロシア人研究者のアンドレ・コンスタンチノヴィチ・ガイム氏とコンスタンチン・ノボセロフの2名は、2010年にノーベル物理学賞を授賞した。

このグラフェンが、実は発光することが分かったのだ。つまり、世界で最も薄い照明ができるこということだ。

炭素原子一つ分の厚みで発光する

グラフェンを照明に応用すると言うことは既に行われていた。

英国マンチェスター大学の関連企業であるグラフェンライティング社が開発した電球がそれだ。但しこの場合はLEDのフィラメントをグラフェンコーティングして強度を高めたという使い方だった。

これは既に製品化が進み、年内には発売開始される予定で、従来のLEDより発光効率が高いという。

しかし、今回コロンビア大学と韓国の研究チームが実験に成功したのは、グラフェンそのものを発光させるというものだ。これは世界初となった。


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つまり、炭素原子一つ分の厚みの素材を発光させたと言うことで、世界で最も薄い照明装置であると言えるのだ。

研究成果は2015年6月15日に『Nature Nanotechnology』のウェブで発表された。

グラフェンに電圧を加えると発光することがあると気付いたのは4年前だというが、発光する原理は全く分からなかった。

グラフェンに電圧を加える

発光する部分を調べると、なんと2,500度の高温であることが分かった。これは殆どの金属が溶ける温度だ。

しかし、接続された金属の電極は溶けず、熱も伝わっていないことが分かった。グラフェンには、高温になると熱が伝わりにくくなるという特徴があったのだ。

グラフェンが発光する

この原理を応用すれば、炭素原子一つ分の厚みしかない透明な素材で、発光する透過ディスプレイも作れるかもしれないという。

グラフェンが発光するインパクト

研究者の一人は、グラフェンという画期的な発光素材について、エジソンが電球でフィラメントに使用した素材と同じ炭素であることをおもしろがっている。

しかし、今回発行することが確かめられたグラフェンは、電子回路に光を利用するフォトニック回路への研究も期待されているのだ。

また、柔軟性があり透明でありながら発光するディスプレイなどへの実用化も視野に入っている。

エジソンが世界に明かりをもたらしたことと同じくらいのインパクトを持った研究となりそうだ。

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