夫の実家の墓を拒否「あの世離婚」急増の背景

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2015年06月23日 16:10  JIJICO

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死亡してまで「家」や「夫」に縛られたくない女性が急増


死亡後、夫の両親と同じ墓に入ることを拒絶する妻が増えているそうです。夫は、妻も当然、同じ墓に入るものと考えていますが、「知らない土地や、知らない夫の祖先、まして嫌いな姑と同じ墓に眠るなんて、考えただけで憂鬱」という女性の本音をよく耳にします。


さらに、実家の墓を継がない夫の場合も同様の傾向が見られます。夫は夫婦で同じ墓に入ることを前提に考えていても、妻としては亡くなった後まで夫と一緒にいることを望まず、自分の親や自分だけの墓、または自分と子どもたちの墓が良いと考えているケースが少なくありません。


つまり、「あの世離婚」です。死亡してまで「家」や「夫」に縛られたくないわけです。今までは夫の両親や祖先と同じ墓に入るのが当然の慣習でしたが、核家族化が進み、後継ぎ問題、そして、葬儀や墓など供養に関する感覚の変化、それに伴う選択肢の多様化により、自分なりの供養という道が開けてきました。良いかどうかは別として、自由に自分の墓を考えることができつつある環境が整ってきたということです。


夫側の墓に妻が入らなければならないという法律はない


「あの世離婚」を考えている妻は、直接、夫に「同じ墓に入りたくない」と打ち明けて了解をもらう人もいれば、「どうせ夫が先に死亡するのだから、その後に自分は好きな墓に入ろう」と考えている人もいます。


そもそも、夫側の墓に妻が必ず入らなければならないという法律はありません。その墓に納骨するかどうかは、祭祀承継者が決めることです。墓地の規約や慣習などによって異なるため必ずとはいえませんが、妻の実家の祭祀承継者が了承すれば、妻は妻の実家の墓に納骨してもらうことも可能です。無理な場合は、後継ぎがいなくても供養してもらえる永代供養の墓を選ぶこともできます。


永代供養墓の種類としては、樹木の下やその周囲に個々人が埋葬される樹木墓、寺院に遺骨を預ける納骨堂、最近、コマーシャルや広告で見かける堂内墓、さまざまな人と共に墓に入る合祀墓などがあり、そのほかにも海や山などへ遺灰を撒く散骨もあります。


忘れてはいけないのは「供養する側の気持ち」


「自分はこうしたい」との意思も大切ですが、忘れてはいけないのは「供養する側の気持ち」です。それを無視して墓を決めてしまえば、家族が困る場合もあります。さらに親として、代々受け継いでいく「供養」や「祖先を敬う気持ち」を、後世にあえて継がせることも考えおかなければなりません。


墓選びは、夫の親と同居する、夫婦だけで暮らす、離婚せず我慢して暮らす、離婚して精神的に自由になるなど、現在の住まいと同様の選択です。家族や親族も無関係ではないため、死亡した後の住まい(墓)をどうするのか、供養される側と供養する側のことをよく考えて決めてほしいものです。



(明石 久美・ファイナンシャルプランナー)

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