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糖尿病の患者さんには、決められたタイミングで注射を打たねばならないという苦痛がついて回っている。これを緩和することができれば、どれほどの朗報だろうか。
これについては様々な研究開発が進められているようだが、その一つとして、パッチを貼るだけで痛みを伴わずにインスリンが投与されるという仕組みが研究されている。それが『Smart Insulin Patch』だ。
『Smart Insulin Patch』は、、糖尿病の患者の皮膚に貼り付けておけば、インスリンを必要なタイミングで痛みを伴わずに自動的に投与できるという優れものだ。
この『Smart Insulin Patch』が実験動物を用いた臨床試験で合格したことが発表されたのだ。
採血も痛みもなく効果は長めに持続する
『Smart Insulin Patch』の研究を進めているのは米ノースカロライナ大学(University of North Carolina)とノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)の共同研究チームだ。
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彼らによれば、『Smart Insulin Patch』を皮膚に貼れば、患者の血糖値の上昇を検知して、必要な状態になると自動的に適量のインスリンが血流中に放出できるという。この仕組みは世界初の研究成果だ。
『Smart Insulin Patch』は19mmほどで1セント硬貨程度のサイズだが、ここには微細な針が100本以上埋め込まれている。
![Smart Insulin Patchの極細針](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/06/42b0794a65167ff7da800430f8d7763e-690x415.jpg)
その極細針にはブドウ糖を感知する酵素が含まれているのだ。糖尿病患者の血糖値が上昇すると、血液中のブドウ糖がパッチの表面に届くという。
するとパッチの表面がそれを感知し、膜を破ってインスリンが血液中に放出されるように作られている。
従って、事前に患者から採血する手間が省け、注射を打つときのような痛みは伴わないというから、糖尿病患者の苦痛がかなり緩和されるだろう。
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マウスを用いた実験成果では、『Smart Insulin Patch』によって血糖値が抑えられると、その状態は数時間持続し、注射でインスリンを注入したマウスよりも次のインスリン投入タイミングまでの時間が長く維持できたという。
実用化への期待が高まる医療技術
痛みもない、採血も必要ない、効果の持続時間が長いなど、『Smart Insulin Patch』が人間にも実用化できるようになれば、その恩恵は大きい。
そのため、研究チームはこれから糖尿病患者に『Smart Insulin Patch』を利用してもらいながら、その成果を追跡調査する段階に入る。
ノースカロライナ大糖尿病ケアセンター所長のJohn Buse氏によれば、『Smart Insulin Patch』の実用化の目処は2〜3年位内を目指しているという。
糖尿病で苦しむ人々が、早く『Smart Insulin Patch』で少しでも楽になることができれば、これは朗報だ。
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