高齢化で増加する心臓弁膜症の最新治療とチーム医療

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2015年07月22日 18:10  QLife(キューライフ)

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75歳以上の12%の高齢者に弁膜症が!?

東京ベイ・浦安市川医療センターハートセンター長 渡辺弘之先生(左) 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院心臓血管外科主任部長 高梨秀一先生(右)

 心臓弁膜症は、心臓の弁に障害が起こる病気です。加齢により大動脈が石灰化し、狭窄してしまう心臓弁膜症や弁が適切に閉じないため血液が逆流する「僧帽弁閉鎖不全症」が増加しています。高齢化が進む日本では、心臓弁膜症の患者さんが増加しており、75歳以上の12%の高齢者では、なんらかの弁膜症を持っているといわれています。

 米国医療機器・IVD工業会(AMDD)は、7月17日に「高齢化の中で静かに増加する心臓弁膜症」と題した、第25回メディアレクチャーを開催。東京ベイ・浦安市川医療センターハートセンター長の渡辺弘之先生と日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院心臓血管外科主任部長の高梨秀一先生を招き、診断と治療、心臓弁膜症のチーム医療についての講演が行われました。

画像診断を共通言語に、チームで治療にあたる心臓弁膜症

 心臓弁膜症は重症化すると死に繋がる疾患です。国内の推定患者数は200万人ともいわれ、手術を必要とする患者さんは、年間1万人とされています。手術で根治治療が可能ですが、病状の進行がゆっくりで、症状に気がつかず見過ごされてしまうことも多くあります。

 代表的な症状は息切れですが、健常な高齢者でも大体息切れの症状をもっています。高齢者の心臓は小さく重くなり、しなやかさがなくなります。そのため拡張しづらくなり、十分な血液を心臓が受け入れる前に縮み始めるため、肺に圧がかかり息苦しくなります。そうした高齢者の中から、弁膜症を見つけるのは大変難しいことです。そのためには、画像診断が重要ですが、病気を見つけに行くためには体系的な聴診も大切だと渡辺先生はいいます。

 「高齢化で弁膜症は多様化しているため、診療にはチーム医療が必要です。多元化しているため専門領域が違うので共通言語が必要になります。共通言語は画像診断です。消化器に問題があれば消化器専門医、脳に問題があれば脳専門医、さらにリハビリ医、かかりつけ医、家族などかかわるすべて人がチームです」と渡辺先生は、多様化多元化している弁膜症のチーム医療の必要性を話されました。

 「関心が持てれば興味も持てます。興味があれば、理解ができリスペクトできます。今まで循環器の治療の中で、カテーテルを中心に内科医と外科医がコラボレーションし、反目もしてきました。しかし弁膜症の治療は、反目していてはできません。画像診断をする内科医の戦略で、外科医が手術し、その結果をフィードバックしていく。そのために関わるスタッフがお互いに何をしているかを理解する必要があります」と高梨先生もクロスラーニングの重要性を話されました。

 心臓弁膜症患者さんの健康寿命を延ばすためには、適切なタイミングでの診断と治療が大切です。より負担の少ない治療法の導入が期待されます。(QLife編集部)

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  • うちの三男も僧帽弁の弁膜症。まだ14歳です。いずれは手術しないといけないので良い治療方が見つかり、うれしいです。
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