秘密のベールに包まれたプーチンの娘を追え!

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2015年07月22日 20:01  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の娘と噂される女性が、まだ若いのに名門モスクワ大学で4つのポストに就いているらしい。反政府活動家であるアレクセイ・ナバルニーがそう訴えている。


 プーチンには、マリアとカテリーナという2人の娘がいるが、彼女たちの詳しい素性がメディアで取り上げられることはこれまでほとんどなかった。20年前の子供のころの写真が出たくらいだ。


 ところが今年1月、ロシアのビジネスニュース専門局RBCがモスクワ大学の拡張計画について放映した後、著名ブロガーのオレグ・カシンが、拡張計画の背後にある財団のトップがカテリーナ・ウラジーミロヴナ・ティコノヴァという28歳の女性で、彼女はプーチンの次女だと報じた。


 RBCはプーチンと女性とをはっきり結びつけてはいないが、カシンは「プーチンの娘が見つかった」と書いた。カシンによれば、ティコノヴァはプーチンの義母の旧姓で、カテリーナはそれを偽名として使っているという。


 そして今週月曜日、ロシア国内に残る最も著名な反政府活動家の一人、ナバルニーが、ティコノヴァがモスクワ大学の副学長代理に就任したと続報をもたらした。


 モスクワ大学からはコメントを得られず、「ティコノヴァがプーチンの娘である」とするナバルニーやカシンらの主張の裏付けはまだない。


 プーチン大統領の報道官ドミトリー・ペスコフは1月、カテリーナ・ティコノヴァなる人物は知らないと、政府の関与を否定。プーチンの娘がモスクワ大学で働いているかと尋ねられると、それも知らないし、大統領の息女の件は自分の仕事ではないと答えた。


家族のことはほとんど語らないまま


 拡張計画に絡んだ財団のトップと副学長代理の他にも、ティコノヴァはモスクワ大学の理事会に名を連ね(ナバルニーによれば、一般的には教授や学部長だけの特権)、同大学の若い科学者らをサポートする財団のトップも務めているようだ。


「モスクワ大学は腐敗しきっている」と、ナバルニーはブログに書く。副学長代理というティコノヴァの4つ目のポストについては、匿名の大学関係者が彼に渡した3月の内部資料に記されていたという。しかし、公になっている大学の教職員リストにはどこにも彼女の名前はないと、ナバルニーは言う。


 絶大な権力を誇るプーチンは、家族についてはほとんど語らず、その謎に満ちた私生活は強い関心を集めてきた。


 昨夏には、プーチンの長女マリアが実はオランダ在住で、ウクライナ東部でマレーシア航空17便が撃墜された後、オランダを出国したと同国メディアが報じている。オランダのタブロイド新聞は出国と事件とを関連付けたが、そもそもマリアが本当にオランダにいたかどうかも確認されてはいない。


 昨年11月、プーチンは国営タス通信のインタビューで珍しく娘たちについて言及。「2人ともモスクワに住んでいる」とし、「家に帰ったときに会っている」と話した。ただし、プーチンが多忙なため、娘たちに会うのは月に1、2度だそうだ。



ダミアン・シャルコフ


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