「浮気夫」が「子どもに会いたい」と言っています。拒否しても良いですか?

0

2015年07月27日 20:31  弁護士ドットコム

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

弁護士ドットコム

記事画像

離婚して3年たった今になって、元夫に「子どもたちと会いたい」と言われています。離婚したのは、元夫の浮気です。浮気は、父親としての責任を放棄した行動だと私は今でも考えています。そこで、現在9歳になる長男には、元夫に会わせたくないのですが、拒否することはできるのでしょうか。


【関連記事:元夫との面会交流を「15歳と10歳」の子供が拒否したいと言っている】


A. 気持ちはわかりますが「子どもにとって何が良いか」をよく考えてください

「浮気した夫に子どもをあわせたくない」という理由のみで、母親が子どもを会わせないことは家庭裁判所の実務上は認められません。


確かに、浮気をして家庭を壊した張本人の夫が離婚後に子どもに会わせてほしいという要求に対して、応じたくないと考える母親も多く、その気持ちもよくわかります。


ただ裁判所は、離婚後の面接について、「子の福祉」にとって良いかどうかで判断しており、浮気という夫婦間の問題をダイレクトに判断材料にはしていません。


私も相談者の方には、「浮気されて辛い気持ちはわかるけれど、その一時の感情だけで子どもから父親の存在を奪って良いか」と問いかけて、しっかり考えてもらっています。


「浮気夫」でも、子どもにとっては唯一の父親であることに違いはありません。妻として辛かった感情と母親として子どもにとって何が良いかは、難しいけれども分けて考える必要があります。


例えば、母親は「子どもは父親を嫌っている、会いたがっていない」と言っていても、家庭裁判所の調査官などが母親の居ないところで子どもに父親について聞くと、離婚した理由を全部知っている子であっても「パパのことは嫌いではない。できれば会いたい」と言う場合もありますので、子どもの希望についても慎重に考えてあげる必要があります。もちろん裁判所も、子どもが嫌がっている場合に無理やり会わせることはしません。


また、もう1つ面会には副次的な効果があります。


定期的に面会することで、養育費を支払おうという気持ちになりやすいんです。


法律上の建前では、子どもとの面会と養育費の支払いは決して条件関係にはありません。


しかし、人の気持ちとしては、会えない子どもよりも、定期的に会って成長をみている子に対しての方が養育費を支払おうという気持ちになりますよ。


養育費の未払いの相談を受けると、感情的な問題から父親に面会させていないケースが多いことも事実です。




【取材協力弁護士】
堀井 亜生(ほりい・あおい)弁護士
第一東京弁護士会所属 「ホンマでっかTV!?」の法律評論家としてレギュラー出演。その他にも「とくダネ!」「ノンストップ!」などメディアに多数出演。著書に「フラクタル法律事務所の離婚カウンセリング〜答えが出るノート〜」がある。
事務所名:弁護士法人フラクタル法律事務所
事務所URL:http://www.fractal-law.net


    前日のランキングへ

    ニュース設定